些細な言葉の威力【マイクロコピー】

【難易度】★★★☆☆

【この記事を読むことで】
・Webマーケティングに有効な「マイクロコピー」について理解することができます。
・Web販売を行っている方でなくても、このマーケティング手法を知ることで日常の中で新たな視点を持つことができます。

今回のテーマ「マイクロコピー」の前に「POP広告」について説明させていただきます。

【この記事のPOINT】

POP広告とは

POP広告とは、「Point of purchase advertising=消費者が商品を購買する場で行われる広告」のことで、一般的には店頭・店内の陳列棚などに展示される販促物がPOP広告に該当します。
スーパーでよく見かける手書きのものです。

このような広告ですね。

POP広告は、

お店や売り場に活気を与えて購買意欲を高め、
お客様に商品を手に取っていただき、
購入するかどうかの最終判断をする際に後押しをするなど

の役割を持っています。

また、消費者にとってPOP広告は、

「メーカーからの一方的な押し付けではなく、お店や店員個人もこの商品をお勧めしているサイン」

と受け止められやすく、それだけに商品の魅力やメリットが客観的な視点から説明、記載されている必要があります。

私自身、スーパーで食料品を買う時などは、POP広告に影響をうけていることを実感しています。(「今だけ半額!」などには弱いです・・・)

一方、最近の私は日用品以外の買い物は、店舗よりもインターネット購入の方が増えてきました。

WEBマーケティングにおいても、POP広告のような工夫により売上拡大に繋げる「マイクロコピー」があり、その手法を次に取り上げます。

マイクロコピーとは

マイクロコピーとは、元HubspotのUXデザイナーであるジョシュア・ポーター(Joshua Porter)が提唱した概念で、購買者・ユーザーの行動を促す“些細な(僅かな)言葉・文言”を意味します。

Webサイトなどで日常的によく見るラベルボタンや写真のキャプション、通知メッセージ、問い合わせフォームの文言などで利用されています。

メルマガ登録ページや購入ボタン、ナビゲーションなどの小さなスペースに表示されている「短めのコピー」のことであり、キャッチコピーに比べると専門性は低いものの、ユーザーに行動を促すうえで非常に大きな効果を発揮します

【マイクロコピーイメージ】

「今なら送料無料」「30日間返金保証つき!」「クレジットカード登録不用」などです。

ボタンの周りなどに記載されてれている“アレ”(↓)です。

<マイクロコピーが使われている主なケース>

・登録ボタン
・ログイン画面
・パスワード設定画面
・メルマガ登録画面
・お問い合せ入力画面

WEBマーケティングにおいては、言葉を入れ替えたり、単語を一つ加えたりすることでユーザーの心理状態が高まり、新規客やリピーターを獲得することに繋がります

マイクロコピーは、このように主にコピーライティングやセールスライティングで用いられる手法であり、Amazon、Google、facebookなどが、驚異的な成長を遂げることができた、きっかけの1つといわれています。

私のマイクロコピー体験

以前、あるものをネット購入しようとした際、「お一人様2個まで」という表記が購入ボタンの上に記載されており、

「この商品は在庫が心配するほど人気なのか!?」
「1個だけでいいんだけど、せっかくだから2個買おうかな・・・どうしようかな?」

と考えたことがありました。
(結局、その時は1個しか買いませんでしたが)後になって、それが「マイクロコピー」の仕掛けだったことを知りました。

人は購買に際し、合理的な判断だけではなく、「感情」が大きく影響します

“感情は論理を超越する”(※)という言葉は、私がマーケティングや経営全般を考える際、とても意識している言葉です。

(※)誰かの言葉か、もしくは自分が作った言葉なのか忘れてしまいましたが・・・

小さいながら大きい役割

マイクロコピーの役割はユーザーを目的地までスムーズにガイドすることであり、ユーザーの行動を遮る障害に対処する役割があります。

Webサイトで買い物をする際に、ページの内容が足りなかったり、不親切だったりすればユーザーはページから離脱してしまいますが、マイクロコピーを効果的に活用することで不安やストレスを解消する役割を担います。

マイクロコピーの事例

マイクロコピーで25億も募ったオバマ元大統領

とても有名な例として、2008年のアメリカ大統領選のオバマ氏の政治資金を募るためサイトがあります。
より多くの政治資金を募るために、クリックボタンを下記の4つに分けてテストしました。

【4つのボタン】
1. Sign up(登録する)
2. Join us now(今すぐ参加する)
3. Sign up now(今すぐ登録する)
4. Learn more(もっと情報を見る)

結果として、4.の「Learn more」が一番クリック率が高く、それぞれの寄付金額を測定したところ、4.にしたことで寄付金額を25億も増やすことに成功したとのことです。

4.は「行動へのストレスが一番小さかったから」だと言えます。

1~3は「お金を寄付すること」が直接的に表現されており、読者のボタンをクリックするストレスが大きく高まりますが、4.だとそれが間接的に描かれていることが抵抗感を払拭できたと言われています。

Airbnb(民泊プラットフォーム)の予約画面

民泊プラットフォームAirbnbの予約画面システムとして、ホスト側にまず予約リクエストを送り、問題なければ予約完了となる仕組みです。
この流れだとどのタイミングで請求されるのか見えにくいため、予約の際は「まだ請求されません」と一文が加えられていることで購買に際して不安を取り除く効果があります。

Amazon

ユーザーの不安を取り除く目的でAmazonの注文確認ボタンがあります。
「続行」だけだと決済されるのかどうかが分からないのですが、「注文の最終確認ができます」と注意書きがあれば安心してクリックして進められるようになります。

Amazonプライムの無料体験の申込画面もマイクロコピーを活用しています。
「30日間の無料体験」という言葉は、無料というインパクトのある言葉がユーザーのハードルを下げます。
30日間という期間はユーザーにサービスをじっくり体感してもらい、納得して契約に結び付ける戦略です。
そうすれば、約1ヵ月間利用して契約したユーザーはその後契約解除をする確率は低くなることに繋がります。
また、細かい点ですが「30日」という数値表現もポイントであり、「1ヶ月」より「30日」の方がユーザーには魅力的に感じるとのデータに基づき、意図的に使用しているんですね。

また、「無料体験後は¥500(税込)/月。いつでもキャンセルできます」と記載することで、無料体験後の契約内容を表示し、縛りがなくいつでも解約可能ということでユーザーの不安を解決できるようにしています。

手軽に実践しやすいことがポイント

マイクロコピーの魅力は、広告予算や時間がなくてもすぐに実践できるため、意識さえすれば、簡単に実践に移すことができます。

コストをかけなくても即日結果を出すことができるのが、マイクロコピーの魅力といえます。

デザイン基本法則

・ボタンの色はユーザーが普段利用し、信頼しているWebサイトの色に合わせる
・スマートフォン、一般的なスマホのUIで多く用いられている一般的なフォーマットに合わせる
・フォントはユーザーが信頼している媒体と同じものにする
・Web上で利用する言葉は普段ユーザーが頻繁に利用している言葉や、ユーザーに強い影響を与えている媒体で用いられている言葉を用いる
・ユーザーが最も使っている言葉を利用する
・3行以上は箇条書きの方がいい
・箇条書きのものは一言で伝わる文章の方がいい
・文章より数字を含める方がクリック率が高まる
・数字より比較表にした方が離脱率が低下する
・比較表よりグラフにした方がいい
・画像より動画の方が信頼される

上記の基本法則は「Webコピーライティングの新常識ザ・マイクロコピー(山本琢磨著)」を参考にしています。

些細な言葉であっても、効果的に活用することで、売上が大きく変わってきます。

マーケティングを考える際は、リアルでもウェブにおいても、人の感情が大きく関わる点を理解し、適切なアプローチを追求していきたいと思います。

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