【難易度】★★☆☆☆
自分好みのビールを発見!
私はもともとお酒好きですが、最近は健康のために“断酒”・・・
は断念し、“減酒”に取り組むようにしています。
30代後半まで典型的な営業現場で活動していたため、接待等で酒席の場が多く、40歳を過ぎた頃から体への負荷が少しづつ表面化してきました・・・。
飲む量、頻度を減らし始めたところ
「少し値段が張っても、いいお酒を飲みたい」と考えるようになり、普段と違うお酒を試したところ
「YONA YONA ALE(よなよなエール)」というクラフトビールを見つけてしまいました!
と言っても、”コンビニでも売っているから知っているよ”という方も多いと思いますし、値段も280円ぐらいでちょっとだけ高い程度です。
(今まではサントリーのプレミアムモルツが一番おいしいと思い込んでおり、恥ずかしながら知りませんでした・・・。)
写真はこちらです。
柑橘類の香りが特徴のアロマホップを使用しており、”爽やか”かつ”コクのある味わい”にハマりました。
あまりにも自分好みの味であったため、ネット検索してみたところ、こちらの会社は他社との徹底的な差別化を戦略の中心に据えており、経営の観点からも大変興味深い会社であることがわかりました。
長野県軽井沢町に本社を置く株式会社ヤッホーブルーイングは、
全国に400社近くあるクラフトビールメーカーの中でトップシェアを誇る新進気鋭のビールメーカー。
「ビールに味を!人生に幸せを!」をミッションに、
斬新なコンセプトやネーミングの製品を生み出している。
とのこと。
調べてみると社長の井出直行さんは、自身の差別化戦略について各地で講演している方のようです。
大変学ぶことが多かったため、講演内容の一部を下記にまとめてみました。
何かを取ったら何かを捨てる覚悟(トレードオフ)
~井出社長の言葉~
競争戦略論において、何かを取ったら何かを捨てるような難しい決断を連続して行い、一連の活動がつながり合うことで、他社には決して真似できない相乗効果をもたらす。
たとえば道が左右に分かれていたら、通常はリスクを考え左右両方に力を分散して進むが、私たちの場合は左を取ったら右の道は捨てる。
それが「トレードオフ」である。
さらに私たちの場合、100社いたら1、2社しか選ばない道をあえて進む。
そして次の分かれ道でも他社と違う道を進んでいけば、競争相手はいなくなる。
そんな活動を10年以上続けてきたら、ガラパゴス諸島に生息している希少生物みたいなユニークな会社ができあがった。
ネーミング、デザインも独特です。
限定品の「正気のサタン」! 低アルコールだから”正気を保てる”という意味でしょうか!?
発売日に飲んでみましたが、これもまた美味しかったです。
「裏通りのドンダバダ」!! 独特なネーミング & キャラクターデザインですね(笑)。
差別化とブランディングの重要性
製品開発に際して、
「他社が真似を躊躇するくらいに差別化を行うこと」
「ターゲットは狭く、具体的に決めてブランディングすること」
を方針としているようです。
「水曜日のネコ」という商品のターゲットは
・30代前後の女性で、職場では責任ある仕事をバリバリこなし、独身もしくは既婚で子供がいない
・東急東横線か東京メトロ日比谷線沿線に住んでいて、おいしいものが大好きで、ファッションや持ち物にこだわりがある
・家に帰ったらお酒を飲んで素の自分に戻る習慣があって、それが次の日の活力となる女性
という詳細な人物像を設定しており、そこから「TSUBAKIな女性が仕事終わりにOFFタイムでリセットするビール」というコンセプトが生まれたようです。
※TSUBAKIな女性=TSUBAKIシャンプーのCMに出てくるようなおしゃれで自立した、女性が憧れるリーダー層の女性をイメージ
商品開発する際は、社内の意見、社外のアンケート調査を徹底的に行ったうえで慎重な検討を行っており、
ターゲットであるTSUBAKIな女性は、どんな時にお酒を飲みたいかヒアリング調査
「週の真ん中あたりで一息つきたい時」という設定が明確となる
ターゲット層の好きなもの、癒されるものを聞くと、「ネコ」という結果に行き着く
議論を重ねたうえで「水曜日のネコ」というネーミングに決定
デザインは「個性的かつ世の中にないもの」そして「賛否両論分かれるもの」を前提としているため、誰からも嫌われないデザインは無難だが、その代わりものすごく好きという人もいなくなってしまう。
賛否両論分かれても、ターゲット層の中で3割から5割の人がすごくいいと言ってくれたデザインを元に「水曜日のネコ」が完成
という経緯です。
このように戦略的、かつ計画的な商品開発を行っているんですね。
小さく始めて、大きく育てる
「失敗してもいい、うまくいくかどうかは誰もわからない。リスクも取りなさい。
そして、小さく生んで大きく育てよう!」
というのが会社の基本方針とのこと。
上記製品開発の流れを見ると「水曜日のネコ」は、戦略的なトレードオフ(何かを取ったら何かを捨てる)が詰まっています。
・統計では、水曜日はビールがあまり消費されない曜日。にもかかわらず、水曜日を取って他の6つの曜日を捨てている。
・ネコを取ってネコ嫌いの人を捨てている。
・普通のビールメーカーはできるだけ多くの人が飲んでくれるビールをつくろうとするが、
この商品は30代前後のTSUBAKIな女性から支持されたら、他の年代が無反応でも仕方ない。
というように「捨てる」覚悟を持っているわけですね。
結果的に「水曜日のネコ」は大成功の結果となっているようです。
株式会社ヤッホーブルーイングはHPも充実しており、各商品の開発秘話や美味しく飲むための記事などが載っており、こうしたところにも会社のプロモーションの上手さ(戦略)が見えます。
https://yonasato.com/
独自性のある商品の開発背景を感じながら、(量はほどほどに)味わっていきたいと思います。