【難易度】★★★☆☆
|私は大学で「経済学」を学び、社会人になってから大学院で「経営学」を学びましたが、何かのきっかけである方から2つの学問の違いを質問されたことがあります。
しかし、(お恥ずかしながら)それぞれの違いを端的に説明することができませんでした・・・。
あらためて調べてみたところ、全く逆の視点で事象を見る、という点に気づきましたので、その点について今回はご紹介します。

「経済学」と「経営学」は同じ事象を反対から見ている
「経済学」の目的
経済学の目的は「人々の暮らしを豊かにすること」
そのために、
①富の創出、②富の偏在の解消
を研究します。
つまり、富が企業に偏在すること(企業の利潤が増大すること)は望ましくないと考えます。
企業に富を偏在させないための手段として「完全自由競争」が望ましいと考え、いかに完全自由競争を実現させるかを検討するものです。
「政府」的な視点で見るイメージですね。

「経営学」の目的
経営学の目的は「企業の業績を向上させること」
そのために、
できるだけ競争をしないように戦略を考えること
がベースとなっています。
マイケル・ポーター教授は「5フォース(5つの力)」を提唱しており、利潤をあげるために企業を取り巻く5つの「脅威」を最小化する考え方です。

こちらは「社長」的な視点で見る、といったところでしょうか。
「経済学」と「経営学」は真逆の視点


以上のように、「経“済“学」と「経“営“学」は一文字違いですが、全く逆の視点を持っているんですね。
その他 1文字違いで正反対になる言葉
話は大きく変わりますが、一文字違いで正反対になる言葉繋がりで、もう一つ。
『同じ読み方でも意味は正反対!「日陰」と「日影」』
という記事を見つけました。
(※以下、経済学、経営学とは全く関係ありません・・・)
【問題】
「ひかげで涼をとる」という時の「ひかげ」の表記で正しいのは、次のどちらでしょうか?
【回答】
1:日陰 or 2:日影


正解は…

1:日陰 です。
「陰」「影」ともに暗い場所を表現する漢字です。
読み方も同じならイメージも似ていて、混乱を招きやすいですね。
しかし、「かげ」という漢字一文字の持つ意味が、そもそも微妙に違うということです。
「陰」は、光や風雨などがさえぎられた場所を意味し、必ずしも光ありきで使用する漢字ではありません。
「物陰(ものかげ)に隠れる」などでも使用できます。
これに対し、「影」は、光源の反対側に光とセットでできる、暗い部分…つまり、まず光ありき、の暗い部分を表現する漢字です。
「日影」は、影もセットになったものとしての「日光、陽射しそのもの」を表現した単語です。会話文なら「暑いから、日影が傾くまで休憩しましょうか?」というような使い方をします。
光がないのが「陰」、光があるのが「影」。同じ「かげ」でも、状況は正反対というわけです。

最後に、「影」繋がりで(またまた関係ない話ですが)、先日出版された村上春樹さんの新刊「街とその不確かな壁」を現在読んでいます。
村上春樹ワールド全開で、その世界観にどっぷりと浸りながら読み進めています。面白いです!
その中では【影】がキーワードで出てくるのですが、よくよく考えてみれば【影】って不思議ですよね。
といった記載がありました。
当たり前のことではありますが(※作中のストーリーには関係ありませんが)、色々と考えるきっかけになりました。
今回は連想ゲームのように、次から次へと話が飛んでしまい失礼しました(笑)