【難易度】★★★★☆
「ジョハリの窓」については、過去の記事でも取り上げていますので、よろしければぜひ。

今回は、『ブランド「自分の価値」を見つける48の心得』(岩田松雄著)の中で取り上げられていた、ブランドの起点となるミッションを見つけるための方法、「ジョハリの窓」についてご紹介します。
(著書では独自の岩田流「ジョハリの窓」を提唱されています)
私の経験から
スターバックスでMac Bookを開いている人達を揶揄する意味合いで「意識高い系」などと巷では言われたりしているようです。
・・・ですが、私も典型的なそのタイプでした(汗)
今は仕事の関係上、Mac Bookではなく、WindowsのLet‘s Noteにしましたが・・・。
私の場合は、
また、
という理由で、ともに利用していました。
ブランドの作り方
スターバックスの場合

スターバックスが多くのファンを抱えているのは、スターバックスのミッションである
「人々の心を豊かで活力あるものにするために─
ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」
が、お店のパートナー(スタッフ)の間に浸透しているからであると著書では述べられています。
店員であるパートナーたちが同じミッションを共有して行動しているからこそ、「スターバックスらしさ」(=ブランド)がつくられていく。
ブランドはミッションから生まれるものである。
パートナーたちは、おいしいコーヒーを提供してお客様に喜んでもらうことで充実感を得ています。
コーヒーがおいしいからこそ、パートナーたちはお客様に笑顔で接することができ、その結果、店内によい雰囲気が満ちるということだとのこと。
Appleの場合

「iPhone」と「iPhoneに似たスマートフォン」は、“似ていても”全くの別物です。
実際、「iPhoneに似たスマートフォン」は、既にさまざまなメーカーから発売されています。
iPhoneは他のスマートフォンよりも高価ですが、それでも多くの人は、iPhoneを選んでいます。
その理由は
「一度iPhoneを使うと、他とは比べる気にならないから」
「その背景にスティーブ・ジョブズとアップルのさまざまなストーリーが隠されているから」
と著書では述べられています。
ボタンのない、シンプルで飽きのこないデザインも、アプリでカスタマイズしていくという使い方の先進性も魅力的であり、iPhoneの一つ一つの要素が消費者の期待や想像を超えており、そこに大きな感動が生まれます。
こうした経験や感動を何度か繰り返すと、消費者の中には、アップルへの良いイメージと尊敬が生まれ、こうしてアップルのファンやサポーターが生まれていきます。
「ジョハリの窓」で自分(自社)を再発見する
ここでは、コミュニケーション学や心理学で用いられる「ジョハリの窓」を用いて、自身のブランドについて考えてみたいと思います。
ジョハリの窓は、「自分は知っている/知らない」「他人は知っている/知らない」の2軸を組み合わせてできたマトリックスで、4つの窓を持っています。

■第1の窓
自分も他人も知っている自分を表す「開放の窓」
■第2の窓
自分は知らない、他人だけが知っている自分を表す「盲点の窓」
■第3の窓
自分だけが知っていて他人は知らない自分を表す「秘密の窓」
■第4の窓
自分も他人も知らない自分を表す「未開の窓」
このマトリックスは、自分探しのヒントになります。
「自分には特別なものがない」「人に誇れる個性がない」と悩んでいる人は、
「ブランド」がないのではなく、「ミッション」が見つかっていないだけかもしれません。
その場合は、ジョハリの窓を活用し、自分探し(自社の本質探し)をするのが効果的です。
自分を深く掘り下げるためにオリジナルのフレームワーク「岩田流ジョハリの窓」が著書で紹介されており、ブランド確立のために大変参考になる考え方でしたので次に紹介します。
「岩田流ジョハリの窓」
「岩田流ジョハリの窓」では、
としています。
「自分は知っている“自分”」とは、自分の志のことであり、その内容が他人にも知られているかどうかで、上下の窓に分かれる、という考えです。
一方、「他人は知っている自分」とは、自分(自社)のイメージや表面的に滲み出ているもの、
つまりブランドのことを指します。
自分で気づいているイメージと、そうでないイメージとで、左右の窓に分かれ、下記の図のようになります。

このうち「第1の窓」、ミッションとブランドが一致している窓にまず注目してみたいと思います。
自分のミッションを達成するための努力を続ければ、それが周囲にも知られていき、「第1の窓」が徐々に大きくなっていきます。
「第1の窓」を大きくしたいなら、「第2の窓」にフォーカスするのが効果的です。
これらを、SNSなどを使って、他人に知ってもらうことが重要になります。
また、「第3の窓」、つまり「他人が知っていて、自分ではわからない自分」の存在に気づくことも重要です。
そのためには、他人からのフィードバックを謙虚に受け入れること。
そうすると、自分の意外な特徴に気づけて、「第3の窓」から「第1の窓」へと移動させられることに繋がります。
次は「第4の窓」について。
他人も自分も知らない自分をどう見つけ、生かすのか?
その答えは「挑戦」と著書の中で表現されています。
新しいことに挑戦しないと、いつまで経っても自分の可能性は広がらない。
「自分も知らない自分が存在する」「やってみれば意外にできるかもしれない」と信じて、新しい一歩を踏み出すことを勧めています。
失敗への対応が、ブランド価値向上に繋がった事例
著者は日産自動車での営業担当時代、酒店の店員さんのバイクに接触し、怪我をさせてしまったことがあったようです。

【著者の事故後の対応】
事故の後、お詫びをするため、そして店員さんの容体をうかがうため、その酒屋に毎日通ってワインを買うようにした。
すると、最初はぶっきらぼうだった主人が次第に話をしてくれるようになり、やがてワインの知識をいろいろ教えてくれたり、値引きをしてくれたりするようになった。
そんなある日、主人がいきなり「一番高いクルマのカタログを持っておいで」と言う。
著者がカタログを渡すと、主人は当時もっとも高かった「サンタナ」という高級車を即決で買ってくれた。
著者はもちろん、クルマを売るつもりで通っていたわけではありません。
事故という異常事態に対する誠実な対応があったからこそ、主人にとって大きなマイナスだったはずの著者のブランドがプラスに転化し、購入へと至ったのです。
自分(自社)をブランド化するには、コモディティ人材(企業)にならないようにする努力が必要です。
著者がただの「日産の岩田さん」でいる限り、「日産の鈴木さん」や「日産の佐藤さん」といつでも代替可能です。
一方、「総務の生き字引の田中さん」「いつも一緒に仕事をすると幸せな気分になれる山田さん」と言われるような人材になれれば、その人は代わりのきかないブランド人だと言えます。
「ブランド化」は「差別化」とも言い換えられます。
「〇〇さん(御社)は□□だから、他社とは違う」とタグ付けされるような、差別化された人材(企業)をめざすことが大事と言えます。
【参考書籍】