“面白い商品ネーミング”とマーケティング(ウエルシアの事例)

【難易度】★☆☆☆☆

【この記事では】
・商品のネーミングによるマーケティング効果について記載しています。

【この記事のPOINT】

「誰も傷つけたくないスポンジ」

近所にある薬局ウエルシアに行ったところ、「おっ!」と目を引く商品が・・・

「誰も傷つけたくないスポンジ」

ついつい手に取ってしまいました。

ネット検索してみたところ、

「過去に何があったの?」

「主人公みたい…」

とSNSでも話題になったようです。

同社によると、
一般的なスポンジに使われている不織布やナイロンと比較して柔らかいため、デリケートな食器をやさしく洗えるのが特徴であり、スポンジの一部に植物由来素材を使用していることから、環境にも配慮しているとのこと。

つまり、食器と地球環境にやさしいので、「誰も傷つけたくないスポンジ」というネーミングに至ったようです。

ウエルシアの経営ビジョン

ウエルシアホールディングスグループでは、

『いいものがある。いいひとがいる。いい店だと思う。』

というビジョンのもと、ウエルシアのプライベートブランド「からだWelcia・くらしWelcia」を新たに展開しています。

「お客様に新しい価値や驚きを与えられる」ことを目指して2020年11月に発足したPBプロジェクトだそうです。

ウエルシアのPB商品は、「いいひと」を目指しています。
口に入れるものや肌にふれるものなど、いのちに寄り添うものは「からだWelcia」、生活に便利、快適、安心をお届けするものは「くらしWelcia」で、お客様のからだとくらし、両方を支えていきたいと思っています。そんな、お客様の人生を支えるパートナー(=いいひと)として「いいもの」をつくり、一人でも多くの方に寄り添っていきたい。
※ウエルシアHPより

とのビジョンに基づくネーミング戦略なんですね。

ユニークなだけでなく、商品名が長いものもありました。

「ブラシはいらないそう思う人に使ってほしいフェイスブラシ」

商品名の意図について担当者の方の記事がIT MEDIAに掲載されていましたので紹介します。

 「ブラシでメイクすることは、メイク初心者に難しそうというイメージがあり、ハードルが高いかと思います。その中でも、チークブラシ、アイシャドウ、アイブロウブラシは付属のブラシが商品に付いていることもあるので、ブラシを使用することは比較的容易に受け入れられるかと思います。

ですが、フェイスパウダーは、ブラシに変えただけで簡単に薄く均一にパウダーが広がり、崩れにくさ&キレイなプロ級な仕上がりになります。

『ブラシでメイクする? しかも仕上げのフェイスパウダーをブラシでする? そんなの私には必要ないよ!』と思っている――そんな方にこそ使ってみてほしい! そんな思いをネーミングにしました」

 利用客が考えているであろうことを踏まえ、商品名でチャレンジを促す意図があるようです。

その他にも面白いネーミングが多数あります(画像をクリックすると拡大されます)。

「ガーガーをスヤスヤにするおやすみテープ」、ユーモア溢れる商品名と写真のギャップが個人的にハマりました(笑)。

「とまらないアーモンド小魚」は仕事中の間食用に購入してみましたが、ヘルシーでおいしかったです。

ブランディングにおけるネーミングの重要性

ブランディングにおいてネーミングが重要視されています。

・潜在ニーズに直接働きかけてくるネーミング
・話し言葉を使ったネーミング、だじゃれのようで、生活者との距離を縮めてくれるようなネーミング

話題になることはマーケティングの最重要要素です。

特にモノがあふれる現代では独自性や差別化を図るマーケティングが必要です。
類似商品が並ぶ店頭ではネーミングへの印象が売り上げを左右することも少なくありませんよね。

そして、ネーミングはブランドのストーリーやメッセージを表現することができます。
ストーリーやメッセージを表現することで、より消費者の印象に残り差別化が期待できます。

ネーミングのポイント

最後にネーミングのポイントを紹介いたします。

アル・ライスという世界的に有名なブランディングの権威は、

“ネーミングはブランディングにおいて最も重要な決定事項だ!”

と言っています。

我々の脳は名前と多くの情報をリンクさせて記憶させ名前を鍵にして記憶の中から情報を検索しているとのこと。

では、理想的な名前とはどんなものでしょうか?
マーケティング学者のケラーは以下の4つがネーミングで重要なポイントだと言っています。

①シンプルで発音やつづりが容易
②親しみやすく意味を感じる
③ユニーク(独自性が高い)
④意味が伝わりやすい

今回紹介したウエルシアに関して、①の”シンプルさ”はさておき、親しみやすく、ユニークで、意味が伝わりやすいネーミングでしたね。

特に、名称を聞けば商品のイメージが湧くものが良いと言われています。

ネーミングにおいてよく例に取り上げられる「熱さまシート」という商品名では、「熱を冷ますためのシート」というのが、すぐに思い浮かぶと思います。

消費者にそのイメージが定着すれば「熱が出たから熱さまシートを買おう」という発想になりやすいですよね。

このように意味が伝わりやすいことも良いネーミングのポイントといえます。

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