真の顧客満足とは?

【難易度】★★★☆☆

【この記事では】
・インターネットサービスで意図的に退会や解約を複雑化している!?というニュースを通じて、「真の顧客満足とは何か」という点について考察しています。
・行動経済学の「スラッジ」(「面倒だからやめておこう」という感じで人の行動を阻む仕組み)について説明しています。

【この記事のPOINT】

「入会は簡単に、退会は複雑に」というニュース

Amazonや楽天等、インターネットで買い物は私たちの生活に定着しています。
私もネットでの買い物がほとんどになりました。

そんな中

「米当局、アマゾンを提訴 プライム会員の解約複雑化」

というニュース記事がありました。

内容は、

「米連邦取引委員会(FTC)は21日、米アマゾン・コムが会員向け有料サービス「アマゾンプライム」で同意なく契約させたり、解約しないよう手続きを複雑化させたりしているとしてアマゾンを米西部ワシントン州の裁判所に提訴したと発表した。

電子商取引(EC)での消費者保護を目的とした法律などに違反したとしている。
FTCは、アマゾンで買い物する際にプライムに加入しないで購入するボタンが見つけにくくなっており、解約には契約延長を提案するページを何度も回避する必要があると指摘した。

意図しない契約に誘導し、解約を複雑化する「ダークパターン」と呼ばれる手法を使い、消費者が不利益を被ったと主張した。

アマゾンプライム会員は配送料が無料になったり、映画や音楽などの特典を楽しめたりする。アマゾンは2021年春に世界の会員数が2億人を超えたと明らかにした。」

とのこと。

私自身、数年前にワンクリックで誤購入し、注文キャンセルが複雑で手間取った経験があります・・・。

誤解のないよう先にお伝えしますが、私はAmazonのヘビーユーザーです。
書籍の9割以上はkindleで購入しており、本日現在1100冊超の書籍を購入しており、
Amazon側の事情でkindleサービス継続が困難になると(そんなことはないと思いますが)大変なことになるため、Amazonの健全な企業発展を願っている点、誤解のないようお願いいたします。

※実際の私のkindleアカウント画面(kindle購入書籍1110冊)

Amazonびいきの私もそのような経験があったため、
「入会は簡単に、退会は複雑に」という設計をもう少し見直す必要性があるのではと感じました。

サブスクリプションサービスの定番手法

各種サブスクサービスの常套手段で「数ヶ月無料・放置すると有料に自動切り替え」は、当たり前になってきました。

新聞購読や音楽聞き放題、映画見放題の定額サービス等で”最初の〇カ月間無料”は定番ですが、いつの間にか有料サービスに切り替わっていたという経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか?

以前、私のブログでも紹介したことのあるCanvaというデザインツールサービスでは、無料サービス期間から有料会員へ切り替わるタイミングで「もうすぐ無料期間終了しますよ」という旨のメール案内が来たことがありました。
こうした案内は消費者からしてみれば、大変安心でき、私自身Canvaに対する満足度が大きく高まった経験をしました。

こうしたサブスクサービスの他にも、宣伝メール、ジャンクメールをなかなか「配信停止」にできない問題もよく聞きますね。

行動経済学の「スラッジ」

今回のAmazonのニュースは、行動経済学でいう「スラッジ」の一種と言えます。

「スラッジ」とは “不利な方向に行動を誘導したり、その人が取りたいと思っている行動をとりづらくさせたりすること”であり、
「面倒だからやめておこう」という感じで人の行動を阻む仕組みです。

スラッジの具体例を挙げると下記のようなものがあり、皆さんも心当たりがあるものはないでしょうか?

・有料オプションの追加や、メールマガジンの購読などの追加的サービスがデフォルトで許可された状態にされている。
 →知らない間にメールマガジン購読登録されてしまうケース。

・SNSで、ワンクリックでインターネットに公開投稿される設計となっている。

・「セール期間終了まであと何分」のようなカウントダウン表示や、「他に何人がこの商品を閲覧中」などの情報が必要以上に強調されている。
 →気持ち的に急かされ、購入意思が固まる前にクリックしてしまうケースも。

・追加的なサービスへの申込を促すとき、NOの選択肢として「私はそのサービスを利用せず、割引を受けることも望みません」などの羞恥心やためらいを生じさせるような文言を表示する。

・解約、退会する際に手続きの全体像が把握しづらい、同じ内容を何度も入力させる、一括選択や解除ができない、オンライン上だけで完結せずに電話や郵送を求めるなど、必要以上に手続きを複雑にしている。

どうでしょうか。心当たりがありませんか?

企業活動におけるマーケティングでは、このような消費者の行動特性を利用したアプローチが多く存在しています。

顧客自身が気づかないニーズを掘り起こして、「その商品・サービスが欲しい」と思ったうえでの購買行動であれば問題はないのですが、欲しくもないものを気づかないうちに購入させるアプローチは真の顧客満足視点に立っていないと思いますよね。

また、企業側のマーケティングスタンスだけでなく、消費者として、これらの心理的特性があることを理解し、思いもよらない出費に繋がらないように意識していくことも重要だと感じました。

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