謝罪の流儀

【難易度】★★☆☆☆

【この記事では】
誠意のある謝罪を行うためには、
・謝罪に行く前の「事実の把握」「再発防止策の検討」の重要性
・謝罪時において「具体的な事実+相手の気持ち(or状況)+お詫びの言葉+自分の気持ち」の順番で謝ることの効果
について述べています。

【この記事のPOINT】

今回のテーマ「誠意の伝わる謝罪」

普段のニュースでも、企業の不祥事で謝罪会見を目にする機会がありますよね。
(芸能界の不祥事も含めて)
見ていると謝罪会見を契機に形勢逆転もあれば、さらなる深みにはまっていく残念な会見もあります。

中小企業経営にとっても、ミスやトラブルなどで顧客や関係者に謝罪をすることは珍しいことではなく、他人事ではありません。
謝り方ひとつでその仕事や関係が台無しになってしまうと、会社の信用にも大きなダメージがあります。

目指したいのは“関係を修復し、ことを収束に向かわせる謝罪“です。

人材育成コンサルタントとして活動している、アンド・クリエイト代表取締役社長の清水久三子氏の「マイナスをプラスに転じる謝罪の虎の巻」という東洋経済の記事を読んで、「誠意の伝わる効果的な謝罪」の重要性を感じましたので、今回のテーマに取り上げました。

関係を修復するための謝罪

私は営業現場で長く仕事をしていきたため、お客さまから苦情をいただくことが何度もありました。

こちらの完全な不手際、
個人的落ち度はなくとも会社方針をお客様に理解頂けなかったもの、
前任者や部下のミスによるもの、
お客さまの誤解による理不尽なもの等・・・。

どのようにしたら関係を修復できる謝罪になるのか、今回の参考記事を読みながら自身の経験を振り返ってみました。

① 事実の把握(謝罪に行く前)

まずは事実・経緯を完璧に把握する必要があります。
「どういう状況で」「何が起きて」「相手にどのような迷惑をかけたのか」
これを自社側の関係者で包み隠さず完璧に洗い出すことが最初のステップです。

その後は徹底的に「誰が何をしたのか」「どんな発言をしたのか」情報を集めます。
ここで抜け・漏れがあると、謝罪のときに相手から知らない事実を突きつけられ、
「そんなことも認識せずに謝りに来たのか。全然わかってない!」
とさらに怒りを誘うことになりかねません。

お恥ずかしながら、私自身、前任者のミスで謝罪に行った際に同じような経験をしたことがあります・・・。
謝罪の最中に、お客様からの情報で初めて聞いた事実が出てきてしまい、頭が真っ白になってしまいました。
これは前任者の問題というよりも、「事実の把握ができていなかった」という、私自身に起因する問題でした。

しっかりと事実把握をすること
また、事実把握の際は、迷惑をかけた本人はなかなか正直に言いにくいこともありますので、
事実確認する方も「責めているわけではないこと」を理解してもらいながら
事実を整理することが大切ですね。

また、関係者が複数いるのであれば、周辺の人からも事情や経緯を聞き出すことも同様に重要です。

② 解決策と再発防止策を作る(謝罪に行く前)

次のステップとして、
「どのように今の状況や問題を解決していくのかという案」と、
「今後同じことを繰り返さないための防止策」をセットで持っていくことが重要になります。

お客さまに対して「再発防止策」を提示できないと、形だけの(その場しのぎの)謝罪だと思われかねません。

そのためには、「真の問題は何か」を突きとめることが必須となります。

コミュニケーションの問題なのか、期待値のズレの問題なのか、スキルの問題なのか、品質の問題なのかを見極めたうえで、相手が納得する案を作ります。

担当者同士で修復できないレベルまでこじれてしまっているのであれば、こちらの担当者を変えるというのも対策案として検討が必要になりますし、

スキルや品質面の問題であれば、現メンバーのスキル不足をカバーするような体制やチェックの仕方を変えることが対策案になってきます。

繰り返しになりますが、「問題は何か」という本質を押さえることが最重要です

③ 事情説明の前にまずはお詫びの言葉(謝罪の場にて)

心情としては、原因や理由など事情説明をしたくなりますが、まずは相手の話をしっかりと聞き、お詫びの言葉を述べるところから始めます。

ただし、ひたすら「申し訳ありません」とだけ繰り返していても、次第に「この場だけ謝れば済むと思っているのか!」と思われてしまうので、注意が必要です。

具体的にどのように謝るのか、トークポイントをご紹介します。

「事実+相手の気持ち(or状況)+お詫びの言葉+自分の気持ち」で具体的に謝る 

「謝ればいいと思ってるんだろ」と思われないためには、相手が何に対して怒っているのか、相手がどんな気持ちなのかを受け止めて、具体的に謝る必要があります。

そのためには「具体的な事実+相手の気持ち(or状況)+お詫びの言葉+自分の気持ち」の順番で謝ります。

【例】

「スケジュールの共有ができておらず(具体的な事実)、混乱させてしまい(相手の気持ち)、申し訳ありませんでした(お詫び)。
本当にあってはならないことだと思っています(自分の気持ち)」

「エラーが頻出して(具体的な事実)、皆様の作業を中断させてしまい(相手の状況)、申し訳ありません(お詫び)。
新システムへのご期待を裏切る結果になってしまい、情けなく思っております(自分の気持ち)」

上記例のように、具体的な謝罪ポイントを明確にすることで、相手の怒りを受け止めていることをしっかりと示すことが大切です。
具体的に謝るためには、事情や経緯をしっかりと把握しておくことが大前提になります。 
また、相手が何に対して怒っているのかを相手の気がすむまで言ってもらわなくてはなりません。

相手が何か言いかけたときに、すかさず事情の説明を始めてしまうのではなく、まずは「言い切った」と思うところまで聞いたうえで、「事実+相手の気持ち+申し訳ありません+自分の気持ち」の順番で謝意を示します。

謝罪だけでなく、お礼の言葉を添える

今回参考とした清水氏によれば、「謝罪」と「お礼」の黄金比というものがあるようです。

「申し訳ありません」も、ずっと続けていると効果が薄れてきます。
2回続いたら、「ありがとうございます」をはさむことも効果的とのことです(清水氏)。

謝罪シーンで感謝を述べることなんてあるのかと思うかもしれませんが、会ってくれたことや、耳の痛い意見を言ってくれたこと、解決のための糸口をいただいたことなど感謝のポイントは探せばありますよね。

【例】

「お忙しい中、お時間をいただいたことに本当に感謝しております」

「言いにくいことをしっかりとおっしゃっていただき、ありがとうございます」

「私たちの気がつかなかった点をご指摘いただき、本当にありがとうございます」

清水氏によれば、「申し訳ありません」と「ありがとうございます」のバランスは2:1を目安にしてみることが効果的とのことです。

陥りがちなNG謝罪

「誤解を与えてしまい…」「そういうつもりでは」は謝罪時の代表的なNGワードです。

この言葉は意識していなくても、うっかり出てしまう時もあるようです。
しかし、「そういうつもりではなかったのですが、誤解を与えてしまったようです」という説明は、「自分は悪くないが、あなたが間違って認識した」と言っているようなものです。

謝罪となると責任問題が生じるため、弁解が増えてしまいがちです。

謝ることによって生じる影響を恐れたり、責任を回避したいという気持ちが働いたりするのは自然なことではありますが、まずはぐっとこらえたほうが、その後の影響や責任が軽くなることが多いと言えます。

謝罪はできれば避けたいものですが、振り返ってみると謝罪を通じて誠意ある対応を行なったお客様とは、それまで以上に関係が深まった経験もあります。

マイナスからゼロを超えて、プラスに転じさせ「雨降って地固まる」を目指すために、今回の記事を参考にいただければ幸いです。

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