【難易度】★★★☆☆
「顧客ニーズ」と「競合他社動向」把握の重要性
社会情勢、経済情勢が不透明で、顧客ニーズも多様化する昨今、中小企業経営においては変化に対応できる柔軟性が重要なキーワードになります。
顧客ニーズに対応しよう!
と考え、新たな戦略を実行するも、他社との差別化が図れなかったり、
競合他社と差別化を図ろう!
と考え、新規性ある事業を展開しても、最も重要な顧客ニーズがそれほどなかったりするケースもあります。
今回は、顧客ニーズを捉え、他社にはできない自社の強みを発揮できるアプローチを考えるフレームワークである「バリュープロポジション」についてご紹介いたします。
フレームワークの基本「3C分析」
バリュープロポジションについてお話しする前に「フレームワーク」の活用意義について触れたいと思います。
「フレームワーク」とは、経営戦略等を検討する際に用いられる便利な「型」のことです。
型に当てはめていくことのできるフレームワークがあると、知識が少ない人でも作業を進めやすく、多様な視点から論理的に考えられるメリットが得られます。
フレームワークの中でも代表的なものに「3C分析」があります。
以下3つの「C」からできているフレームワークです。
- Customer:市場・顧客
- Competitor:競合
- Company:自社

シンプルな3つの視点から分析することで、自社や顧客の視点だけに偏らず、競合他社を含めた対策検討を行うことが容易になりますね。
3C分析は元経営コンサルタントの「大前研一」さんが、1982年に出版した書籍「The Mind of the Strategist」の中で紹介されました。
この3C分析をベースとしながらも、“競合他社と差別化を図る視点”を含めたものに「バリュープロポジション」というフレームワークがあります。
「バリュープロポジション」とは?
バリュープロポジションは、1988年に米McKinsey & CompanyのMichael Lanning(マイケル・ラニング)氏とEdward Michaels(エドワード・マイケルズ)氏の論文『ビジネスは価値提供システムである』で使用されたことがきっかけで世にでてきた言葉です。
このバリュープロポジションとは、企業が顧客に提供する価値を表したもので、
定義すると
「自社が提供できて、競合他社が提供できない、顧客が求める独自の価値を表したもの」
となります。
図で示すと下記のイメージです。

3つの円は3C分析と同じ「自社」「顧客」「競合他社」の視点で検討します。
バリュープロポジションが明確なほど、マーケティングメッセージがつくりやすく、営業が説明しやすく、顧客に選ばれやすくなります。
バリュープロポジションのポイントは下記2点です。
- 顧客が望んでいる価値と、自社が提供できる価値を合致させること
- 競合他社が提供できない、自社独自の価値を提供すること
顧客が望んでいる価値と、自社が提供できる価値を合致させられないと、そもそも顧客に検討してもらえません。
また、 競合他社が提供できない、自社独自の価値を提供しないと、競合と比較されて価格競争になったり、受注率が低くなったりしてしまいます。
ですから、上記図の
「顧客が望む価値」×「自社ができる価値」(×「競合他社ができない価値」)
の部分にフォーカスすることが重要になるんですね。
「バリュープロポジション」の作り方

バリュープロポジションを作成する際は、
①どのような強みを活かし(自社の強み)
②誰の(ターゲットの明確化)
③どのような悩み(ニーズ)に
④いかに応えるか(自社の役割)
の順番で検討していきます。
顧客側・企業側両方の視点を比較・整理して、提供すべき価値を設定することができます。

作成する際は、競争優位性を発揮する目的も含まれているため、差別化を意識して作成することが重要なポイントです。
競合が提供できていない価値、自社ならではの提供価値を見極めて、他社との差別化に繋がる要素を含めて作成しましょう。