しゃぶ葉「食べ放題の残してしまう問題」への絶妙な対策(飲食店の戦略①)

【難易度】★★☆☆☆

【この記事では】
しゃぶ葉のフードロス削減を目指した取り組みについて紹介しています。
食べ残しに対するペナルティよりも、食べきったことに対してインセンティブを与えるという心理的影響が効果的であることに触れています。

先日、飲食店の社長から相談を受けました。
飲食店業界の厳しさ(原価高騰、採用・人件費、ネット口コミ評価などなど・・・)に頭を悩ませており、改善のヒントとして、他社の取り組み事例を紹介する機会が欲しい、とのこと。
「食」は生活の基盤であり、美味しく外食したい、というニーズは常に存在しますが、飲食店経営となると様々な厳しさがありますよね。

これを機に、皆さんが知っている大型店の経営戦略についてあらためて目を向けてみましたので、何回かシリーズ化して紹介したいと思います。

【この記事のPOINT】

しゃぶ葉の食べ残し防止戦略

しゃぶしゃぶ食べ放題のチェーン「しゃぶ葉」が、4月からフードロス削減を目指した「こまめどりプロジェクト」をスタートしました。
私の自宅近所にもしゃぶ葉があり、よく利用させていただいていますが、とても面白い取り組みでしたので紹介させていただきます。

一般的に、食べ放題の業態では利用客がついつい注文しすぎて、食事を残してしまうケースも多いのですが、今回のプロジェクトでは、食べきれる量を少しずつ小まめに取ってもらうことを目的としています。

利用客がきれいに食べ終わったテーブルの写真を撮影し、会計時にスタッフに提示するとドリンクバー110円券を提供する仕組みです。

通常、大人1人のドリンクバー価格は299円ですが、次回以降の来店時にドリンクバーが110円で利用できることになります。

出所:しゃぶ葉HP

食べ放題のレストランは、利用者が料金に対して元をとろうと、実際に食べられる以上の量を取ってしまう傾向があり、一般的なレストランに比べて食品ロスが特に多い傾向があります。
また、お店側にしてもあらかじめ多くの料理を並べる必要があるため廃棄ロスが大きくなりがちです。

食べ放題で大量に残した際、利用客に何らかのペナルティーを課すと宣言する飲食店も散見されますが、
残したらペナルティみたいなネガティブなことより、きれいに食べ終わった写真を投稿したらサービス券配布みたいなポジティブなことの方が、お客様への印象もいいし、Win-Winで非常にいいと思います。

「こまめどり」という言葉のネーミングもいいですね。

会社経営における動機付けの重要性

“ペナルティ”ではなく、“インセンティブ”を重視することは、飲食店業界に限らず、企業経営全般において重要な視点ですよね。

人(従業員)は企業にとって財産であり、利益を上げるための「人材」ではなく、「人財」として教育を施し、モチベーションを高くしていくことは大切です。

目標未達だからペナルティ、よりも、目標達成したから特別研修会といった機会を提供するなど、ポジティブな仕組みで従業員と接していくことなどが挙げられます。

決算書に表れない「人財」こそ、企業にとって一番大切にすべき資産といえます。

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