「バックミラー思考」の限界 ~過去の経験に頼らない手法~

【難易度】★★★☆☆

【この記事を読むことで】
一貫性ある事業活動を行うために必要な、目的(Why)-目標(What)-手段(How)の流れを示す3層ピラミッドの全体像を把握することができます。

【言葉の定義】
「バックミラー思考」とは過去思考
  過去の延長線上に未来を見る思考法。
「バックキャスト思考」とは未来志向
  望む未来を最初に描き、その未来像から現在に立ち戻り、その実現に必要な手段を見つけ出す思考法。

【この記事のPOINT】

VUCA時代に求められるもの

現代社会における経済環境はVUCA(Volatility 変動、Uncertainty 不確実、Complexity 複雑、Ambiguity 曖昧)と呼ばれ、従来では考えられないような変化が起こり、競争が激化する環境にあります。

VUCA時代は、過去を参照して将来を考えるやり方、すなわち「バックミラー思考」を無効にしました。
まるで車のバックミラーを見るように過去を見返しても、VUCA時代ではその延長線上に未来はないということです

不確実性の高い現代において、重要なのは未来起点の「バックキャスト思考」です。
望む未来を最初に描き、その未来像から現在に立ち戻り、その実現に必要な手段を見つけ出す思考が今後的確な判断を下すために求められることです。

「目的」とは「目指す未来の到達点」

未来起点で物事を考えることが必須の時代にあって、「目的」は”未来そのもの”です
目指す先が定まっていればこそ、「そこまでどうやって行こうか」「実現には何が必要か」という逆算の創意が働き出します。

目的が分からないと、目指す先が見えないまま前に進むことになり、「これまでどう進んできたか」と過去を参照する「バックミラー思考」に頼らざるを得なくなります。
VUCA時代においては、望む未来は待っていればやってくるものではありません。
しかし、実現の意思があるなら、未来は作り出すことが可能です。

重要なのは、“何を”やっているかではなく、“何のために”やっているのかという目的を起点とした思考であり、目的を頂点として仕事を駆動することが成果創出の原則と言えます。

「目的」を頂点とした3層ピラミッドの活用

成果創出のつながりは【目的(Why)】-【目標(What)】-【手段(How)】という三層ピラミッド構造によって成り立っています

【目的(Why)】 何のために
【目標(What)】 何を目指して
【手段(How)】 どのように達成するか

要は目的を見失わないことであり、目的を起点に思考することです。

「仕事で失敗したければ、目的を忘れ去ってやればいい」という、皮肉な逆説的表現もあります。

“何のために”がわからないままに一生懸命働いても決して成果は出ない、ということですね。

「バックキャスト思考」の実践

バックキャスト思考は「望む未来像」を起点に現状に立ち返り、未来像を実現する方法を考える逆算の思考法です。
これは、前述の3層ピラミッド構造の考え方そのものです。

以上のような流れを把握することで、過去の経験を重視した「手段-手段-手段」という、何のためにやっているのかよくわからないまま、実行あるのみという手段の目的化を避けることができます。

将来の目的を見据えながら、そこに至る中継地点の目標をセットし、具体的な実務の進め方まで一貫して考え、それを先々まで見据えたストーリーに落し込むことが何よりも重要です。

その一連の考察は、経営者である社長の役割であり、社内で周知徹底することで、手段が目的化することはなくなり、社員全員が目的を意識して仕事に取り組むことに繋がるはずです。

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