【難易度】★★★★☆
ローカルベンチマーク(ロカベン)とは?
ローカルベンチマークとは、経済産業省が作成し、公開している「健康診断ツール」です。
通称「ロカベン」とよばれ、誰でも無料で使うことができます。
企業が地域の金融機関・支援機関と対話を深め、さらに「生産性向上に努める企業に対し成長資金の提供を促す」ことを目的に、2016年3月に公開されました。
ツールはエクセルデータで作成されており、経済産業省のサイトからダウンロードして【無料】で使用できます。
【経済産業省:ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)】はここから
このツールに企業のデータを入力していくことで、下記3つのシートが作成できます。
①「6つの指標」(財務面)
②「商流・業務フロー」
③「4つの視点」(非財務面)
経営状態や、経営に活かせる「強み」などを把握できます。
ロカベンは「財務」「非財務」の両面から経営診断を実施
経営診断ツールというと、財務情報を分析するものが一般的ですが、ロカベンは「財務分析」と「非財務」の両面から、企業の健康診断を行うのが特徴です。
財務分析
下記6つの財務指標の分析結果を、経営者や各支援機関にとってわかりやすい形で提供するシートです。


売上増加率(売上持続性)
キャッシュフローの源泉である売上高の増加に着目した指標。
成長ステージの判断に有用であり、「売上の持続性」を測るための重要な指標です。
営業利益率(収益性)
「本業の収益性」を測る重要な指標であり、収益性分析の最も基本的な指標です。
労働生産性(生産性)
成長力、競争力等を評価し、「生産性」を測る重要な指標です。
営業利益を従業員数で割って計算します。
また、キャッシュフローを生み出す収益性の背景となる要因として考えることもできます。
EBITDA有利子負債倍率(健全性)
有利子負債がキャッシュフローの何倍かを示す指標であり、「有利子負債の返済能力」や「健全性」を測る重要な指標です。※「EBITDA」税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指します。
他の利益指標は国によって計算方法が異なるため、その違いを最小限に抑えて利益額を表すことを目的に使われています。
営業運転資本回転期間(効率性)
過去の値と比較することで、売上増減と比べた運転資本の増減を計測し、回収や支払等の取引条件の変化による必要な運転資金の増減を把握したり、「効率性」を測るための重要な指標です。
自己資本比率(安全性)
総資産のうち、返済義務のない自己資本が占める比率を示す指標であり、「安全性」を測るための重要な指標です。
過去の利益の蓄積を示す指標で、会社の過去の業績が反映されるとても重要な指標です。
自己資本の増加はキャッシュフローの改善につながります。
自社の経営状態が、同業種の企業と比べてどのような位置にあるのかを点数化し、チャートで表示されるので、大変わかりやすいのが特徴です。
非財務分析
ロカベンの最大の特色は、「非財務」からの経営診断にあります。
ロカベンの非財務パートでは
① 業務フロー
② 商流
③ 4つの視点(経営者、事業、企業を取り巻く環境・関係者、内部管理体制)
から、企業の経営状況を把握し、強みや課題の発見、課題を解決するための対応策の策定につなげていきます。
下のマンガは中小企業庁HPに記載されているもので、イメージが理解しやすかったのでご参考まで。

出所:マンガでわかる「ローカルベンチマーク」 | 経済産業省 中小企業庁 (mirasapo-plus.go.jp)から抜粋
業務フロー(自社の強みや魅力を発見する)
【業務フロー】では、自社の業務の流れについて整理しながら、「差別化ポイント(自社のこだわりや工夫)」を発見することが主な目的となります。
業務の流れを、5つのプロセスに分ける
業務の流れ(ビジネスの仕組み)を整理するために、自社の製品・商品・サービスがお客様に提供されるまでの過程・プロセスを5つの段階に分けます。
業務プロセスの分け方は、企業の業種・業態によって異なりますが、以下の主な業種別業務フローを参考にしながら、プロセスを分解していくと分かりやすいと思います。
【例】製造業の場合:①提案・受注、②試作、③仕入、④製造、⑤検品・納品

出所: 業種別業務フローの例(ローカルベンチマークガイドブック企業編 P8)抜粋
プロセスごとに差別化ポイントを見つける
一つ一つの業務プロセスの「差別化ポイント」を考えていきます。
差別化ポイントは難しく考える必要はなく、それぞれの業務プロセスで、自社のこだわりや工夫などを記載していきます。
業務フローの最大の目的は、自社の強みを発見し、魅力を発掘することです。言い換えれば「自社は何のために存在しているのか?」を業務の流れから明らかにすることでもあります。

商流(仕入先・顧客の視点で考える)
商流とは「取引の流れ」のことです。
ここでは、自社のビジネスがどのような取引関係から成立しているかを把握します。
なぜ、その仕入先・協力先なのか?
まずは、自社が仕入先や協力先をどんな理由から選んでいるのかを考えます。
価格が安いのか、短納期なのか、品質が良いのか、独自の技術(サービス)があるかなど様々な理由があるはずです。
その際、業務フローの差別化ポイントに仕入先(協力先)がどのように貢献しているかについても考えてる視点がポイントです。
それは、仕入先(協力先)の重要性や変更の可能性について検討するきっかけにもなります。
なぜ、顧客から選ばれているのか?
仕入先(協力先)とは逆の視点から、なぜ得意先(消費者)から選ばれているのかについても記載していきます。
顧客のニーズに合致しているからのか、販売方法に強みがあるからなのか、顧客の囲い込みができているからかなど、様々な理由が考えられます。
またここでは、業務フローの差別化ポイントが、得意先・消費者に伝わっているのかについても考えることが重要です。
4つの視点(様々な観点から企業の現状を整理する)
「経営者」「事業」「企業を取り巻く環境・関係者」「内部管理体制」という4つの視点で、企業の現状を整理します。

①経営者
中小企業・小規模企業の場合はとくに、経営者が企業に与える影響は大きくなりがちです。
「経営者の視点」では、どのような経営理念やビジョンを持っているのか、どのような事業展開をしていきたいのか、後継者の育成についてはどう考えているのかについて考えていきます。
②事業
「事業の視点」では、自社がどのような仕組みで、どのように利益を挙げているのかを記載していき、自社の強みと弱みがどこにあるかを明確にしていきます。
また、今後の事業を考えるうえで、IT化は重要な課題です。IT化の取り組みについても、ここで記載します。
③企業を取り巻く環境・関係者
市場環境、販売先や取引先企業、取引金融機関、従業員など、自社の外部環境やステークホルダーについて整理し、市場規模・シェア・競合の動向、取引先・顧客との関係、従業員の満足度などについて考えていきます。
④内部管理体制
内部管理体制の視点では、組織がどの程度整っているかについて考えていきます。
品質管理、情報管理体制は整っているか、事業計画・経営計画が従業員と共有されているか、商品・サービスの開発体制、人材育成の取り組みはどうなっているかなどを記載します。
【まとめ】将来目標を明らかにし、課題と対応策をまとめる
ロカベンの非財務(業務フロー・商流・4つの視点)と財務分析の結果から、企業の「現状認識」について一つのストーリーとなるように整理します。
そして、「将来目標」を設定し、現状と目標のギャップを埋めるための「課題」と課題解決のための「対応策」を記載します。
ロカベンの取り組み方
①経営者が一人で取り組む
経営者自身がロカベンに取り組んでみます。
ロカベンの取り組みを通じて、経営者の頭の中を整理することができます。
すべての項目を埋める必要はありません。
書けるところだけでも良いので書いてみましょう。
②社内の複数人で取り組む
部署や年齢が異なる、複数の従業員でプロジェクトチームをつくり、ロカベンに取り組むのも良い方法です。
様々な視点から経営を見つめることで、自社の本当の姿が見えてくるかもしれません。
また、自社の強みや課題などが社内で共有されることで、経営改善にもつながります。
③社外のメンバーと取り組む
社外のメンバー(支援機関や専門家、金融機関など)と取り組むことで、より客観的な視点から企業の現状を把握することができます。ま
た、今後の自社の取り組みに対して円滑な支援を受けることが可能になります。
④何度も取り組む
ロカベンは、経営の「健康診断ツール」と言われています。
健康を守るために定期的な健康診断が必要なように、ロカベンも一度だけでは終わるものではありません。
1度目よりも2度目、2度目よりも3度目と、取り組む度に経営に対する考え方が深まってきます。
はじめから完璧なものをめざさなくても大丈夫です。
ロカベンのいいところは、これらのわかりやすい資料が無料で使用できる点です。
気軽にできるところから、埋められるところから、ロカベンをスタートして、効果的に活用していきましょう!

