【難易度】★★★☆☆
時間は有限である中、体は一つしかなく、体力も有限・・・。
仕事はもちろん、日常の生活においても効率よく、生産的に過ごしたいと考えますよね。
ここでは、生産性を上げるための考え方、また、問題解決の方法をわかりやく書いた名著「イシューからはじめよ - 知的生産のシンプルな本質」(安宅和人著)という本についてお伝えします。
「生産性」の定義
「生産性」は、
どれだけのインプット(投下した労力と時間)で、
どれだけのアウトプット(成果)を生み出せたか
と表現することができます。
数式で表現すると、このような感じです。
![](https://shoji-rmc.com/wp-content/uploads/2022/06/生産性-1-1024x343.png)
つまり、生産性を上げるためには、
同じ成果(アウトプット)を生み出すための労力・時間を削り込む
=(上記式でいうと)分母を減らすこと
もしくは、
同じ労力・時間でより多くの成果(アウトプット)を生み出す
=(上記式でいうと)分子を増やすこと
という考え方はご理解いただけると思います。
このような大きな成果に繋がる「意味のある仕事」を著書の中では「バリューのある仕事」と呼んでいます。
ここではあえて「価値のある仕事」と表現させていただきます。
「価値のある仕事」とは?
「価値の本質」は2つの軸から成り立っています。
① 「イシュー度」
② 「解の質」
「イシュー度」とは「自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」、要は「問題を解く価値があるかどうか?」という観点です。
「解の質」とは「その問題に対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」、つまり、「問題解決の進捗度合い」を意味しています。
マトリクスで表現すると右上に近づくほどその価値は上がるという考え方です。
![](https://shoji-rmc.com/wp-content/uploads/2022/06/マトリクス-1-1024x658.png)
多くの人が誤解していることで、マトリクスのタテ軸である「解の質」が仕事の価値を決める、と考えています。
そして、ヨコ軸である「イシュー度」、つまり「課題の質」「問題の見極め」にはあまり関心を持たない傾向があります。
しかし実際は、ヨコ軸の「イシュー度(課題の質)」こそが大切であり、これが低いと、どんなにタテ軸の「解の質」が高かったとしても顧客から見たときの価値はゼロに等しくなります。
踏み込んではならない「犬の道」
絶対やってはならないことは、「一心不乱に大量の仕事をして、右上に行こうとする」ことです。
「思いつくまま、とにかく労働量によって上に行き、左回りで右上に到達しよう」とするアプローチは「犬の道」と呼ばれています。
![](https://shoji-rmc.com/wp-content/uploads/2022/06/マトリクス2-1024x628.png)
とても大事なことなので、じっくり読んで欲しいのですが、著書の中で取り上げられている下記の事実があります。
マトリクスのヨコ軸である「イシュー度」の低い問題にどれだけたくさん取り組んで、必死に解を出したところで、最終的な価値は上がらず、結果的に疲弊するだけになりかねません。
この「努力と根性があれば報われる」という戦い方では、いつまでたっても右上の価値の高い領域には届かないのです。
本当に右上の領域に近づこうとするのであれば、
まずはヨコ軸の「イシュー度(=問題の見極め)」を上げ、
その後にタテ軸の「解の質(=問題を解くことに注力)」を上げていくこと、
つまり、「犬の道」とは逆の右回りのアプローチが効果的です。
・「問題を解く」より「問題を見極める」
・「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」
ことが重要になります。
いきなり答えを出そうとするのではなく、イシューから、つまり問題設定の磨き込みです。
本当に解くべき問題の見極めをしてから、問題の答えを出すという順番です。
![](https://shoji-rmc.com/wp-content/uploads/2022/06/犬の道2-1024x686.jpg)
問題解決プロセス
イシューから始めることで思うのは、問題設定の段階でも、さらに2つに分けられるということです。
【問題設定の磨き込み】
・問題箇所の特定 [Where]
・原因の掘り下げ [Why]
問題箇所の特定 (Where)
まずは Where からです。「どこが問題なのか」 をまずは明らかにします。
通常、問題だと思われることは複数あります。
最初にやるべきことは、問題の絞り込みです。
様々な切り口を使いながら、問題箇所を特定します。この段階では 「なぜか」 は使わず、「どこか」 で分解して、問題個所を特定することです。
原因の掘り下げ (Why)
その後に、なぜ問題が起こったかの原因を深掘りします。
ここでようやく Why が出てきます。
真因を掘り下げるために、Why を5回繰り返すことや、ロジックツリーで究明する方法が効果的です。
問題解決(How)
上記の流れで問題個所が明確になって初めて、問題解決のステージに入ります。
まとめると、問題を解決するプロセスは次の順番になります。
「何に答えを出す必要があるのか」という議論から始め、
「そのためには何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析を進めていきます。
問題はまず「解く」ものと考えがちですが、まずすべきことは本当に説くべき問題、すなわちイシューを「見極める」ことです。
「やっているうちに見えてくるはず」と成り行き任せでは、ムダが多く生産性の低いアプローチになってしまいます。
問題解決に取り組む際は、問題個所の特定から始めることが重要になりますので、Where - Why - Howの順番で検討する習慣をつけていくことが大切ですね。
![](https://shoji-rmc.com/wp-content/uploads/2022/06/犬の道3.jpg)