【難易度】★★★☆☆
先日、「デザイン思考」をテーマとしたセミナーを受講してきました。
以前、デザイン思考に関する記事を書きましたが、今回のセミナーでは具体的な事例を交えて説明され、腑に落ちる内容でしたので紹介いたします。

デザイン思考では“潜在ニーズ”を発掘する
よく誤解されがちなのですが、デザイン思考とはAppleのMac、iPhoneようなカッコイイ商品を作るためのものではありません。
“問題解決の方法論”です。
デザイン手法を問題解決の方法論へ進化させて、イノベーションを生み出すためのものです。
デザイン思考では、「表面化したニーズ」と「潜在的なニーズ」のうち、誰も気がついていない「潜在的ニーズ」を発掘することで、誰もやっていなかったイノベーションを生み出すことを狙います。
「潜在的なニーズ」は顧客自身ですら気づいていないケースも多くあります。

そのような潜在的なニーズを掘り起こすためには、アイデアがとても重要になります。
前例を踏まえて、色々考えても顧客の持つ真のニーズを掴むためのアイデアは出てきません。
大事なことは現場に出て「観察」することです。
実際に顧客を自分自身の目と耳で見聞きし、人が何に困っていて、どう使うか観察し、アイデアを重視して試作し、本当に役立つか確認します。
駅にある自動販売機の売上を伸ばした例
例として、ポーランド ワルシャワにあるソフトドリンク会社を紹介します。
その会社の社員はテレビでデザイン思考の特集番組を見て、
「あれ?意外と簡単だな。自分たちもできるかも…」
と思ったそうです。

彼らは地元の駅で乗客にドリンクを売るヒントを探すため、デザイン思考の最初のステップである「観察」を開始しました。
現場で観察すると、一定のパターンに気づきました。
乗客の何名かが、
電車到着前の数分間、
一度、自動販売機を見て、
自分の腕時計を見て、
その後にホームの先を見ているというのです。
ここから推測されることは、
「おっ、自動販売機がある。飲み物買おうかな・・・」
「でも、買っている間に電車が来るかも・・・」
「今何時だろう? 電車が来る時間かもしれないからここで買うのはやめておくか」
という心理ではないでしょうか?

そこでこの会社は、時計を大きく目立たせ、さらに電車が来る時間もわかるようにした飲料陳列棚のプロトタイプ(試作品)を作成しました。
すると売上が急上昇したとのことです。
自動販売機に時計があること、また、次の電車が来る時間も確認できるため「到着前にドリンクを買える」とわかるからですね。
この事例のポイントは、
という点だと言えます。
このようにデザイン思考では、顧客を観察し、アイデアを出し、プロトタイプを作り、検証します。
これは、過去の文献や事例をいくら調べても把握できなものです。
特に今の時代は、VUCAと呼ばれる変化の激しい時代です。
「この商品は良い!」「売れる自信がある!」と事前調査し、膨大なコストをかけて開発~生産しても、顧客ニーズは日々変化し、新たな競合が現れる等、売れる保証はありません。

であれば、
顧客をしっかり観察して、ニーズを掴み、アイデアを出し合い、小さく始める
このようなデザイン思考のプロセスが大変重要になります。

デザイン思考に必要なスタンス
デザイン思考で成果を生み出すためには、考え方を変えることが必要です。
もしデザイン思考を学んだ部下が奇抜なアイデアを出しても、上司のマネージャーが「そんな馬鹿げたアイデア、失敗するに決まっているだろう。やり直し!」と言うと、どうでしょうか? せっかく会社としてデザイン思考に投資しても、その投資はムダです。
デザイン思考は部下だけでなく、経営陣まで含めたマネジメントも、基本的な考え方を学ぶことが必要なのです。
「全ての人には、創造性がある」
という言葉は、デザイン思考やイノベーションに関する駆使する経営者トム・ケリーの言葉です。
「部下は創造性がない」と考えるのではなく、「すべての部下は創造性に富む」と信じることが、デザイン思考の第一歩だと思います。

