任天堂のゲームはなぜ大人のニーズを取り込めたのか?【デザイン思考(事例)】

【難易度】★★★☆☆

【この記事を読むことで】
ゲーム開発・制作会社「任天堂」がデザイン思考を活用してイノベーションを成功させてきた過程を把握することができます。

この記事だけでもご理解いただけますが、前の記事リンクもご参考まで貼っておきます。

【デザイン思考について】

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【この記事のPOINT】

「Wii」「Nintendo Switch」以前の時代

任天堂の家庭用ゲーム機「Wii」や「Nintendo Switch」の事例は有名なデザイン思考の活用事例です。

これまでの「Wii」「Nintendo Switch」以前の時代は、ファミリーコンピューター(ファミコン)から始まり、Play Stationやセガサターンなど一人で没頭する事を前提としたゲーム機が当たり前でした。

親から見れば

「いつまでもゲームをしてばかり・・・」
「家族で過ごす団欒の時間が短くなっている・・・」
「昔(親が子供)の時代は友達と外で健康的に遊んでいたのに・・・」
「ゲームばかりで視力が悪くなるのでは・・・」

など、“ゲーム”=“悪”というネガティブな印象を持つ方も多かったと思います。

任天堂はこのようなゲーム機の当たり前を根本から見直し、デザイン思考で再定義をしました。
その結果、生まれたのが「Wii」や「Nintendo Switch」です。

「Wii」に学ぶデザイン思考の実践例

任天堂はデザイン思考の概念を商品開発に適用した事で有名です。

「Wii」はご存知な方も多いでしょうが、スティック状のコントローラーを手に持ち、身体を動かす事で操作ができるゲーム機です。
手元でコントローラーを持ち、画面を見続けながらゲームをするスタイルではなく身体を動かしながら直観で操作ができるゲームを生み出しました。
当時販売された時は、全く異質のゲームが登場した事で社会的にも話題となりました。

ゲーム機のポジショニングを再定義し、
これまでのゲーム機の概念を覆し、
ユーザーにとっての新しい価値を定義する事で新しい市場を創り出した
事例と言えます。

つまり、先に触れたような

「家族の時間を壊し、子どもにとって悪影響なもの」

というものから

「家族で楽しむことができて、親子関係をよくするもの」

に変革させたという事ですね。

なぜこのような、他社では全く考えつかなかったものを任天堂が生み出す事ができたのでしょうか?
任天堂はユーザー(ここでいうとゲームをしてる子どもではなく親)の立場に立ち、ユーザーにとって何が価値のある事なのかを徹底的に仮説検証を繰り返しているとのこと。
デザイン思考における最初のステップである「観察(共感)」をしっかり行っているんですね。

ここから「鍋のような親密な状況をリビングで創り出したい」という案を基に開発チーム全員によるブレインストーミングが繰り返し行われ、「Wii」は1000回以上もプロトタイピング(試作品)作成~改善を繰り返して、やっと完成版ができたそうです。

ここでの教訓は小さくスタートし、仮説検証を繰り返しながら徐々に完成形を目指すというアプローチ方法が有効という事を示しています。

さらにWiiは、ゲーム機としては斬新な縦持ち・片手持ちが可能な形状のコントローラーでも注目を浴びました。
「家庭で皆が使うのはテレビのリモコンである」という発想がベースになっているようで、ゲーム機を操作するのは基本的に子どもだけで、母親からは敬遠されているという、家庭観察の結果得られた気付きと言えます。
この「片手で縦に持てるコントローラー」の原型も、粘土で何度も試作を重ねながら作られていったようです。

「Nintendo Switch」に学ぶデザイン思考の実践例

「Wii」の事例で述べたような任天堂のデザイン思考の考え方は「Nintendo Switch」にも継承されています。

「Nintendo Switch」は新型コロナウィルスの巣ごもり需要もあり店頭から在庫が消えて買えなくなるほど、爆発的なヒットを果たしました。

「Nintendo Switch」におけるデザイン思考の実践としては「みまもりSwitch」が挙げられます。
冒頭で述べたこれまでの親 vs 子どもという対立関係を実に見事に緩和しています。

「みまもりSwitch」では、子どもがどんなゲームをどの程度プレイしたのかがわかるようになっています
子どもの嗜好を理解する事が難しい親のためにゲーム画像が表示されていたり、
プレイ時間の制限についても曜日別に制限時間が変えられたり、
制限時間が到来した場合の強制終了も強制終了するorしないが選択できるようになっています。

子どもの行動を制限するという目的に沿うだけであればここまでの機能はいらないはずですが、ここまで丁寧に作られているのは、親と子どものコミュニケーションや関係性を重要視しながら家族の体験作りを徹底的に行っているからだと思います。

なぜ任天堂はデザイン思考を実践できたのか

任天堂は1889年創業ですので相当な老舗で、かつ大企業です。
任天堂には暗黙の社是として「娯楽に徹せよ!独創的であれ!」という言葉が存在しているといわれています。
全社員がこの社是の元で先鋭的な動き方ができるところに任天堂の強さがあるのではないかなと思います。
これまでファミコンなど数々のヒットと共に成長している企業ですから、既存事業にしがみつき、大企業病やイノベーションのジレンマに陥ってもおかしくないと思いますが、マインド面で克服する土壌が完成しているのでしょうね。

これは、上記社是や経営理念、ミッション・ビジョン・バリューなどを通じて、会社の想いをカタチにすることの重要性を示しています

社内で共通の想いが形成できていれば、大企業であろうと関係なく、このように柔軟かつ機動的ながらも個性あふれる強いパワーを発揮できるんですね。

【ご参考】
下記書籍は「Wii」の企画担当者が人に行動させてしまう仕組みと仕掛けをまとめた本です。
人の心をつかむ仕掛けが面白いです。

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