【難易度】★★★☆☆
「しっかり計画を立てて実行、結果検証しているのに、なかなか成果に結びつかない・・・」
このような状況に陥る時はありませんか?
上記のようなPDCAと呼ばれる手法は、あらかじめ計画を立てることを重要視しているため、計画そのものを見誤っていた場合、後で立て直すことが困難です。
また、変化の早い現代では計画を立てている間に環境や状況が変化することも起こり得ます。
情報化が進展し、消費者やユーザーのニーズの移り変わりが速くなっている中、効果的な意思決定方法にはどのような方法があるかを考えていきます。
そもそも「PDCA」とは
PDCAは1950年代にウィリアム・エドワーズ・デミングとウォルター・シューハートによって提唱された手法です。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のサイクルを回すことで、問題の継続的な解決を促すのが「PDCAサイクル」であり、最初のステップであるPlanを重要視するのが特徴です。
慎重に計画を立てたうえで、順を追って回していくため、時間のかかる手法とも言えます。

ある程度の先行きが見える状況で、目標を設定して運用することには適していますが、
災害時など著しい環境変化が起こった場合は軌道修正が難しくなるのが欠点です。
環境変化やニーズの移り変わりが激しい現代においては、PDCAサイクルが途中で頓挫してしまうことも珍しくありません。
変化を前提とした「OODA」
「OODA(ウーダ)」はアメリカ空軍のジョン・ボイド大佐が提唱した、状況判断と意思決定のための手法です。
OODAは空軍での体験が元になっており、状況が常に変動する現場での意思決定プロセスであり、変化の激しい現代のビジネスに効果的と言われています。
情報収集~行動までいっきに回すため、こちらはPDCAと比べてスピーディな手法と言えます。

Observe(情報収集:観察)
OODAの軸となるのがObserve(情報収集)です。
市場や社内環境などを観察することで現状を把握します。
現代のビジネスで重要となるのは、現状把握に必要となるデータを収集することです。
収集したデータから、現状をありのままに受け入れることが大切です。
Orient(状況判断)
Orient(状況判断)は、Observeで収集したデータを分析し、分析結果から状況判断を行い、戦略の方向性を決定するステップです。
Orientの結果は、その後のDecideやActionにも影響を与えます。
Orientで行った状況判断や戦略は、OODAループの中で重要な役割を担うといえます。
Decide(意思決定)
Decideは意思決定を行うステップです。
Observeで集めた情報やデータをOrientで状況判断を行い、このDecideで具体的な行動計画を立案します。
Decideの後は必ずObserveに立ち戻り、状況に変化がないかどうか確認することが大切です。
Action(行動)
Actionで行動計画を実行に移します。
当然ながらActionを行った後も、Observeに立ち戻ることが重要です。
実際に行動した結果がどうだったのか、Observeでしっかりと情報とデータ収集を行い、第2のOrient、Decideにつなげていきます。
「PDCA」と「OODA」の違い
PDCAとOODAの違いを端的に表現すると下記の通りです。
・OODAループは「意思決定を素早く行なうためのフレームワーク」
・PDCAサイクルは「業務や品質の改善を行なうためのフレームワーク」
つまり、両者はフレームワークを活用する目的が異なります。

PDCAサイクルが適している状況
PDCAサイクルは「継続的な業務や品質の改善」を目的としています。
PDCAサイクルを活用するのに適している状況は、外部環境の変化が穏やかで、中長期の計画達成や課題設定を志向している状況です。
例えば、自社の既存ビジネスにおける中長期計画を検討するとき、かつ、外部環境変化が少ない場合などは、事前の計画を重視するPDCAサイクルが適しています。
OODAループが適している状況
OODAループは「迅速な意思決定と行動の実現」を目的としています。
OODAループを活用するのに適している状況は、外部環境の変化が激しく、その変化に対して臨機応変に対応していくことが求められる状況です。
例えば、一般的には新規事業や最新技術を用いたスタートアップにおける事業運営などは変化が激しいため、OODAループが適している状況と言えるでしょう。
目指すべき結果があるかないかの違い
OODAとPDCAの最大の違いは、目指すべき結果があるかどうかです。
PDCAは目指すべき結果を想定して、それに向けて綿密に計画を立てた上で、運用を行います。
計画そのものが間違っていたり、イレギュラーな事象が発生した場合は、PDCAでは対応ができないともいえます。
一方のOODAは、目指すべき結果を最初から設定せずに進める手法です。
状況の把握と仮説立てを常に行うループのため、変化に対応しやすいことが特徴です。
OODAは予め計画を立てないため、負荷が少ないように見えるかもしれませんが、常に状況を把握して仮説を立てるためには、深い知識と優れた分析能力が必要となります。
サイクルとループの違い
PDCAはPlan→Do→Check→Actと順番にサイクルを回します。
一定方向のサイクルであり、逆戻りすることは基本ありません。
そのため、変化に対して柔軟に対応できないというデメリットがあります。
一方のOODAはObserveを軸にフィードバックを行うというループ構造です。
Decide→Observe→Action→Observeといったように、必ずしも一方向に進まなくても良いのが大きな特徴であり、前の段階に戻ったり、仕切り直してObserveに戻って再スタートをすることも可能です。
常に情報とデータを収集し、観察を行うという構造なので、自由度が高い手法といえます。

OODAループはPDCAサイクルに代わる考え方なのか?
OODAループは、迅速な意思決定と行動の実現をするためのフレームワークで、新規事業など激しく変化する外部環境に適応していく必要のある事業環境に適しています。
一方、PDCAサイクルは、継続的な業務や品質の改善を目的としており、中長期の目標達成にむけた課題設定をする必要がある状況に適しています。
以上のように、OODAループとPDCAサイクルは目的や活用シーンが異なっているため、PDCAサイクルが古い考え方でOODAループが現代に即した考え方とは言えません。
自分の置かれた状況によって使い分けるか、組み合わせて使うのが理想的です。

OODAループは「ループ」という名の通り、1周して終わりではなく何周も回すことを前提としていますので、PDCAサイクルの各プロセスにおいてOODAサイクルを回すという組み合わせが理想的な事業運営のあり方ともいえます。

