【難易度】★★★★☆
OKRとは
「OKR」とは、Objectives and Key Results の頭文字をとった略語で、「目標と主要な結果」という意味です。
役員・従業員の方々の目標を設定・管理する方法のひとつで、従来の目標達成計画よりも「明確」かつ「一定のペース」で計画を進めることができると言われる方法です。
米・インテル社で誕生し、GoogleやFacebookなど、シリコンバレーの有名企業が取り入れていることで、近年注目を集めています。

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OKRの主な特徴は、従来の目標管理・計画方法に比べて高い頻度で設定、追跡、再評価することが特徴です。
また、OKRのゴールはすべての従業員が同じ方向を向き、明確な優先順位を持ち、一定のペースで計画を進行しやすくなります。
時代が急速に進む現代において「イノベーションを起こし、社員と企業に一体感をもたせたい」という企業ニーズがあったことも、浸透理由のひとつと言えます。
~OKR全体像のイメージ~

【O】Objectives
OKRの「O」は組織が達成を目指すObjectives(目標)を意味します。
一言で言い表すと ”組織や個人が何を目指したいか”に対する答え ですね。
・定性的な目標
・チームを鼓舞するようなチャレンジングなもの
・シンプルで覚えやすいもの
・1カ月~四半期(3カ月)で達成できる目標
・定量的な指標(数字など)を入れない
チームのモチベーションを高めるような挑戦しがいのあるもので、1カ月から四半期(3カ月)で達成できるような目標であると定義されています。
【KR】Key Results
OKRの「KR」とはKey Results(主要な結果)であり、Objectiveへの進捗を図るための具体的な指標を意味します。
「KR」を一言で言い表すと ”目標(Objective)を達成したことをどう判断するか”に対する答え です。
OKRにおける目標の特徴はシンプルで覚えやすいものであること、
定性的な(数値などで表すことができない)ものであり、
基本的に定量的な(数値などの)指標は入れなくてよいとされています。
【KRとは】
・定量的な指標で、数値で測れる
・数は3つくらい(2~5個程度)
・ストレッチゴール(ストレッチ目標)=挑戦的な目標設定
・60~70%の達成度で成功とみなす
・自信度10分の5の難易度
Googleの元副社長であるマリッサ・メイヤー氏が「数値がなければKRではない」と言っていますが、KRは定量的な指標、つまり数値的に測れることが必要となります。
一つのObjectiveに対してKRは2~5つ程度あるとよいとされ、多すぎるとチーム内のコミュニケーションを阻害する可能性があると考えられています。
「むずかしいが不可能ではない」「ベストをつくせば達成できそう」という水準の挑戦的な目標が望ましいとされ、60~70%の達成度で成功とみなしています。
「自信度」を設定する
自信度という目標に対する主観的な自信を測る指標を置き、およそ自信度10分の5の目標を設定します。
自信度1は「無理、できない」と感じるもの、自信度10は「簡単すぎる」と感じるレベルが目安です。
メンバーは、自信度を通して、上司や同僚に自己の現在の能力に対する目標の難易度を発信することができます。
しかし、自己申告指標でもあるため、上司とのガイダンスを通じて納得のできる設定が重要になります。
状況を「いい感じです」といった曖昧な表現で把握するのではなく、透明性を持たせ全員に可視化することに繋がります。
スコアリング
OKRで設定した期間が終了した後は、達成度のスコアリング(採点)を行います。
一つひとつの「KR」に対して、達成度を0.0~1.0(Google社の方式の場合)、または%でスコアリングしていきます。
このKRの平均が「O」のスコアとなります。
・達成度をスコアリング(採点)する
・KRごとに0.0~1.0、もしくは%でスコアリング
・KRのスコアの平均が「O」のスコアになる
OKRは、目標設定をロジカルにできるので、社員の納得感が増し、エンゲージメント向上(従業員の会社に対する思い入れ)が期待できます。
OKR導入の6つのメリット・効果
① 迅速な展開
OKRは目標サイクルが1ヵ月~四半期と短いため、フレキシブルな調整・変更が可能であるほか、革新性を高め、リスクとムダを削減できます。
② 全社的な相互連携
企業の中で同じフォーマットで共有されるため、組織内の各チーム間のコミュニケーションを改善します。
③ 目標設定の時間を節約
前述のとおり、OKRの「O(目標)」はシンプルなので、設定に時間がかかりません。
上の階層の目標をもとにするので、ゼロから考える必要はありません。
④ 従業員エンゲージメント(会社に対する思い入れ)向上
全社で目標を共有しているため、企業への貢献を従業員一人ひとりが実感しやすいと考えられます。
また、そもそもエンゲージメントが向上するような目標にすることが重要です。
⑤ 目標に集中
限られた目標に集中することで、一つひとつの目標により高いレベルで取り組むことができます。
目標がありすぎると、どれを追いかければいいのかがわかりづらくなります。
⑥ 大胆な目標設定
報酬制度とは切り離された目標管理ツールなので、良い意味で失敗を恐れることなく、より高い目標に挑戦しやすくなります。
OKRと他の目標管理との違い(MBO、KPI)

・MBOとは
MBOは、1954年に、アメリカの経営学者ピーター・ドラッカーが著書の中で提唱した、組織のマネジメント手法「目標管理制度(Management By Objectives)」のことです。
これは組織目標と個人目標を統合し、それぞれの従業員の自主性を重視しながら、業績向上を目指していくマネジメントの手法です。
本来、MBOはマネジメントの手法ですが、目標と結果が明確になることで、評価において管理者と従業員双方の納得感が得られるというメリットがあり、日本では「人事評価の手法」として多くの企業が導入しています。
・KPIとは
「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。
KPIは最終的な目標「KGI(Key Goal Indicator)」という「重要目標達成指標(ビジネスの最終目標を定量的に評価できる指標)」を達成するための、過程を計測する中間指標のことです。
KGIを達成するためには、様々な過程を経ていかなければいけません。
その最終目標を達成するために不可欠な過程を洗い出し、過程をどのくらいの状態で通過できれば、最終的な目標が達成できるか、そしてしっかりとクリア出来ているかどうかを数値で計測するものが KPIです。
1.サイクル期間
MBOが通期もしくは半期でサイクルを運用する反面、
OKR四半期と少し短めです。
これは、期初に目標を設定しても実際に目標に向かって動き始めると、置かれている状況が変化し「目標とのずれが生じてしまう」ため、OKRは3か月に1度目標を見直すことを推奨しています。
また「直近のやるべきこと」に社員全員の目標を集中させるという目的もあります。
一方KPIは明確な期間等はなく、プロジェクトの目標達成を目的としているので、プロジェクトに合わせたスケジュールを設定することが多いです。
2.レビュー頻度
レビューとは期初に立てた目標の進捗を上司と部下の間で確認する面談になります。
OKRは毎週のレビューを行います。
KPIもOKRと同じように比較的頻繁なレビューを行います。
MBOでは一般的に「中間レビュー」や「中間面談」といわれることが多く、OKRやKPIでは1on1面談時に目標の進捗確認をおこなっている企業が多いです。
レビューには、形骸化させないだけでなく、計測された指標を週次で確認していき、目標達成できそうなのか、難しいなら打ち手はあるのか、誰かの助けは必要か、などをチェックし、目標達成にむけて軌道修正していく目的もあります。

3.目標達成度の測定基準
MBOは組織ごとにその基準が変わってきますがよく挙げられるのは
1.明確で具体的な目標
2.適正な目標レベルに設定されているか
3.時間軸が設定されているか
4.目標達成するための方法が明記されているか
5.会社目標との関連や自分の使命が考慮されているか
などがポイントとして挙げられます。
一方、OKRやKPIはSMARTの法則というフレームワークを基準に設定されることが多いです。
【SMARTの法則】
・Specific=具体的で分かりやすい
・Measurable=計測ができる
・Agreed upon=達成が可能である
・Realistic=現実的である
・Timely=期限が明確になっている
4.定性的・定量的
OKRは「Objective and Key Result」からもわかる通り、定性的目標と定量的指標が組み合わさった手法です。
それに対してKPIは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」のとおり定量的な指標のみをさします。
OKRは、まず定性的な目標を一つたて、その目標にもとづいて定量的な指標を3~5作成します。各指標を達成できれば、目標も達成できるので、達成したかが明確にわかります。
一方KPIは、KGIを含めて考えるとOKRとよく似ているように思えますが、KGIも「Key Goal Indicator」という「重要目標達成指標」と定量的な指標のみをさし、定量的な目標に絞ってたてるためのフレームワークです。
この違いがKPIとOKRの大きな違いと言えます。
MBOは明確なルールはが唱されておらず、企業ごとに様々な解釈が入る余地がありますが、 多くの企業で定性・定量どちらの目標設定時にも使用されているケースが多いです。
5.目標の共有範囲
OKRは部署レベルの目標、KPIはプロジェクトレベルの目標なのでそれぞれ部署、プロジェクト内の社員に共有することを推奨しています。部署内、ないしはプロジェクト内で目標を共有することは、所属している社員全員が同じ目標に向かっていることを実感させることができ、社員のモチベーションアップに繋がります。
一方MBOは個人レベルの目標で、多くの企業が「報酬や昇進昇格の決定要素にすること」を目的としているため、直属の上司や経営層以外にはクローズドで運用している企業が多いです。
6.達成水準
MBOやKPIの達成水準100%ですが、OKRは達成水準が60%~70%と低めに設定します。
これはOKRが「組織全体が同じ目標に向かって仕事をし、その目標を通じて成長を促すのは、挑戦的な目標を達成するため」という思想が根本的にあるからです。
この挑戦的な目標達成を目指すために、メンバーが予測通りのパフォーマンスを発揮すれば充分に達成可能な難易度のものではなく、達成できるか出来ないか分からない、達成率が70%程度になる難易度で設定するのが良いと言われています。

自社の目的にあった手法を使用する
目標管理手法は様々な種類がありますが、それぞれを正しく理解し、自社に最も適した手法を使うのが一番です。
今回ご紹介した3つの手法は様々な違いがありますが、選ぶ際はそれぞれの「目的」にフォーカスすることが重要です。
【OKR】組織の戦略実行とプロジェクトの目標達成
【MBO】報酬や昇格といった評価の決定的要素にする
【KPI】プロジェクト単位で目標を達成する
OKRは「高い目標を実現したいが経営資源が足りない」という中小企業にこそ向いていると言われていますが、自社が目標管理を行う目的は何なのかを明確にし、その目的を達成できる手法の導入を検討してみてください。
【参考書籍】

