【難易度】★★☆☆☆
|前回の記事で「フレーミング効果」を取り上げましたが、その際、私が大好きな本『7つの習慣』で出てくる「パラダイムシフト」と関連しているな~
と感じましたので、ここで紹介いたします。
↓ご参考までに、前回記事のリンクを貼っておきます↓
「パラダイム」とは”色メガネを通して見ている現実”
パラダイムとは、『7つの習慣』に出てくる「私たちの物の見方や考え方、感じ方」のことを指す言葉です。
私たちは、自分では物事をありのままに見ていると思いがちですが、
実際には、自分のパラダイムを通じて物事を見て解釈しています。
パラダイムは私たちが無意識にかけている「メガネ」のようなものです。
私たちは、無意識のうちに自分だけのメガネを通じて世界を見ているということなんですね。
このパラダイムは人それぞれの人生経験に基づいて形成されるものであり、私たちは一人ひとり異なるパラダイムをもっています。
パラダイムは、いわば私たちが人生を歩むうえで拠り所にしている「地図」と例えられています。
もし、地図が正しく描かれていなければどうなるでしょうか?
地図が間違っていれば、どんなに頑張っても、得たい結果、望む人生に近づくことはできませんよね。
コヴィー氏は、状況や結果を大きく変えたければ、態度や行動ではなく、パラダイムを変えなければならないと話しています。
「パラダイムシフト」とは”色メガネの変化”
パラダイムシフトとは、今までのパラダイムが一気に変化することをいいます。
例えば2020年からのコロナ禍とコロナ禍にともなう緊急事態宣言の影響で、職場に行くのが当たり前だった働き方が、一気にテレワークに変わったという人も多いかと思います。
コロナ禍によって「働き方」という概念に起こった変化はパラダイムシフトそのものです。
パラダイムシフトはコロナ禍のように、私たちの手の届かないところで起こるだけではありません。
パラダイムシフトは、一人ひとりの人生にさまざまなタイミングで訪れます。
パラダイムシフトの体験は、私たちの内面を変えるというとても大きな意味を持っています。
「パラダイムシフト」の例(7つの習慣より)
もう少し具体的にパラダイムシフトとは何かを理解するうえで、『7つの習慣』で紹介されているコヴィー博士自身が地下鉄で体験したパラダイムシフトのエピソードを紹介します。
ある日曜日の朝、ニューヨークの地下鉄で体験した小さなパラダイムシフトを、私は今も覚えている。
乗客は皆黙って座っていた。
新聞を読む人、物思いにふける人、目を閉じて休んでいる人、車内は静かで平和そのものだった。
そこに突然、一人の父親と思われる男性が子どもたちを連れて乗り込んできた。
子どもたちは大声で騒ぎだし、車内の平穏は一瞬にして破れた。
父親は私の隣に座り、目を閉じていた。
この状況にまったく気づいていないようだ。
子どもたちは大声で言い争い、物を投げ、あげくに乗客の新聞まで奪いとるありさまだ。迷惑この上ない子どもたちの振る舞いに、父親は何もしようとしない。
私は苛立ちを抑えようにも抑えられなかった。
自分の子どもたちの傍若無人ぶりを放っておき、親として何の責任も取ろうとしない彼の態度が信じられなかった。
他の乗客たちもイライラしているようだった。
私は精一杯穏やかに、
「お子さんたちが皆さんの迷惑になっていますよ。少しおとなしくさせていただけませんか」
と忠告した。
父親は目を開け、子どもたちの様子に初めて気づいたかのような表情を浮かべ、そして、言った。
「ああ、そうですね。どうにかしないといけませんね… 病院の帰りなんです。一時間ほど前、あの子たちの母親が亡くなって… これからどうしたらいいのか… あの子たちも動揺しているんでしょう…」
その瞬間の私の気持ちが、想像できるだろうか。
私のパラダイムは一瞬にして転換してしまった。突然、その状況を全く違う目で見ることができた。
違って見えたから違って考え、違って感じ、そして、違って行動した。今までのいらいらした気持ちは一瞬にして消え去った。
自分のとっていた行動や態度を無理に抑える必要はなくなった。
私の心にその男性の痛みがいっぱいに広がり、同情や哀れみの感情が自然にあふれ出たのである。
※スティーブン・R・コヴィー著 「7つの習慣」 より引用
このエピソードのコヴィー氏もやはり、最初は隣の席の男性を「子どもが騒いでも注意しようとしない困った父親だ」というパラダイムで見ていました。
しかし、妻を亡くしたばかりだと聞いた瞬間に、「大切な人を失った深い悲しみの中にいる男性」というように、一気にパラダイムが変わることになりました。
パラダイムが変わった前と後とでは、父親にかける言葉や接する態度がまったく違ったものになったと思います。
このようにパラダイムシフトは、私たちのそれまでの物の見方や、自分や周囲の人への可能性を大きく拡げてくれます。
人は同じ物事に出会ったとしても、持っているパラダイムの違いによって異なる捉え方をします。
持っているめがねは、人によってことなるんですね。
相手のメガネから見える景色を意識することで、少し寛容になれる気がします。