執筆させていただいた本の出版について

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この度、共著として携わらせていただいた本がようやく出版されました。

以前の記事でも紹介させていただきましたが、タイトルは「フレッシュ中小企業診断士による合格・資格活用の秘訣Ⅳ」であり、経営知識を体系的に身につけるため中小企業診断士を目指す経営者の方にお勧めしたい内容となっています。

【この記事のPOINT】

本から得られる学びの大きさ

今回は、所属している中小企業診断士の研究会(フレッシュ診断士研究会)による出版であり、複数の中小企業診断士の方のノウハウや経験が積め込まれており、私自身多くの学びを得ることができました。

本の良さとは、「自分の経験を通じて学び、感じることのできなかった誰かの人生を追体験できること」が一番の魅力ではないでしょうか。

(大げさかもしれませんが)、本を通じて時代を超えた偉人の考え方に触れることができます。そして、その考えはとてつもない研究や試行錯誤の末に至った理論であったり、膨大な時間を費やした結晶であるとも言えます。

今回は、あらためて本から得られる学びの大きさを感じ、私がミッション・ビジョン・バリューとして掲げている『先人の叡智である「理論」を「実践」に活かす経営支援を行う』ことの意義を再確認いたしました。

私自身原点に立ち返って、経営者の皆さまに「理論」をわかりやすくお伝えし、普段の経営に活かす支援を行っていけるよう取り組んでまいります。

執筆した本の内容「次世代を見据えた事業承継コンサルティング」

書籍の中で私は「このようにして中小企業診断士の資格を活かしている」というテーマを担当させていただきましたので、執筆記事を下記に掲載させていただきます。

「次世代を見据えた事業承継コンサルティング」

(1) FPコンサルタントとしての事業承継支援

私は中小企業市場に特化した生命保険会社に勤務しており、近年の事業承継支援ニーズの高まりを踏まえ、FP(ファイナンシャル・プランナー)コンサルタントとして事業承継支援に従事している。

生命保険会社で事業承継支援を行っている理由は、生命保険は事業承継対策との親和性が高く、
①事業承継前後のリスク対策(万が一や就業不能時の保障確保)、
②円滑な事業承継に向けた自社株対策、
③個人の相続対策など、
効果的に活用できるケースが多いためである。

活動内容は、生命保険による経済的な対策支援だけではなく、事業承継を検討するうえで欠かせない「自社株評価」による現状把握から、「事業承継対策の検討」「個人の相続対策」等、事業承継に関して保険の枠を超えたトータル支援を行う役割を担っている。

診断士の学習を通じてコンサルティング手法が広がり、これまでに比べて経営者に寄り添った支援ができるようになったと感じている。ここでは診断士取得を通じて変化した自身の活動について紹介する。

(2) 診断士取得前に直面したコンサルタントとしての課題

事業承継とは、後継者に「事業」を引き継ぐことであり、「資産承継」と「経営承継」の2つの引継ぎが完了して、はじめて事業承継が完了となる。

図表4-3-1 事業承継における「2つの承継」

事業承継対策を検討するうえで重要なことは、

①2つの承継のバランスを考慮し、“全体最適”となるようにすること、
②承継後を見据えて“長期的な視点”で効果を最大化すること

であると考えている。

しかしながら、これまでの私は

FPの専門分野である「カネ」(=資産承継)の“部分的”な視点に偏っており、
かつ、
社長から後継者へ事業承継する際の“短期的”な提案(自社株移転方法のアドバイス等)

にとどまっていた。

承継後を見据えた経営承継支援の重要性を理解しつつも、その対応ができていないことに大きな課題を感じていた。

また、生命保険はお客様企業の数ある課題のうち、
特定の課題を解決するための“一つの手段”に過ぎないが、
当時の私は「生命保険を活用して解決できる課題はないか?」という“保険提案ありき”の営業的アプローチになりがちであった。

このように経営課題の全体像を把握できず、的確なコンサルティング支援に繋げられない悔しさが診断士取得を目指すきっかけとなった。

(3) 診断士取得を通じて変化した支援スタンス

経営には「経営戦略」「組織・人事」「法務」「会計・税務」「オペレーション」という要素があり、それぞれバランスよく考える必要がある。このことは事業承継においても同様である。

図表4-3-2 会社経営に必要な要素

出典:河合保弘「種類株式&民事信託を活用した戦事業承継の実践と手法」を参考に著者作成

図表4-3-2は、「会社経営」を中心とし、対極にある要素(攻め⇔守り/合理的⇔感情的)を互いにバランスを取りながら運営していくことの重要性を示している。

診断士を学習する以前は、点線で囲まれた「資産承継」の範囲しか支援できていない状況であったが、診断士学習を通じて会社経営に関わる幅広い知識を習得し、全体を捉える幅広い視点が持てるようになったと実感している。

図表4-3-3 診断士学習により得た私の知識

これまではコンサルティングにおける視野が狭く、

「自社が持つ生命保険という機能を活用してどのような対策を講じることができるか」
という
“自社起点(プロダクトアウト)”の発想であった。

しかし、診断士の学習を通じて体系的な知識を得たことにより、新たに

「お客様が抱えている真の課題は何か」
「その解決のために効果的な対策は何か」
という
“お客様起点(マーケットイン)”の視点を持つことができ、
お客様に寄り添った「伴走型の支援」ができるようになった

と感じている。

図表4-3-4 診断士学習「前」と「後」で大きく変わったコンサルティング視点

図表4-3-5 お客様企業への支援スタンスの変化

(4) 支援事例 ~後継者による新事業展開~

 「資産承継」だけでなく「経営承継」支援ができるようになったことで、私のコンサルティング活動は大きく変化した。

ここでは、実際に事業承継支援を行った「某印刷会社の事例」を基に活動の変化状況を紹介したい。

【相談経緯・支援概要】

・2年後に父親(社長)から承継することが決まった後継者より事業承継の相談を受ける(相談内容は自社株移転方法や承継後の経営全般について)。
・今までであれば、自社株算定を通じた効果的な自社株移転方法等の「資産承継」支援にとどまっていたが、診断士で得た知識が自信となり、経営課題を把握するところから着手。
・まずは、5フォース分析を通じて印刷業界を取り巻く環境の厳しさを把握し、従来のビジネスモデルでは優位性を持続できないことを確認した。

図表4-3-6 5フォース:印刷業界の「5つの力」に基づく“脅威”の把握

・次にクロスSWOT分析による内部環境と外部環境を図表4-3-7の通り整理した。
分析した結果、「機会」として顧客からマーケティングに関する相談が近年増加していること、また、コンサルティング能力に長けた人材が在籍していることが自社の「強み」であることを確認することができた。

図表4-3-7 クロスSWOT分析

・その後、社長と後継者で「対話」の場を設け、議論を重ねた結果、印刷という「モノ」から、印刷物等のツールを使って顧客のマーケティングを行うという「サービス」分野へ事業領域を拡大していく方針を見出すことに繋がった。
同時に新事業展開においてコンサルティング能力に長けた人材のスキルは必要不可欠であり、万が一の事態や就業不能時に不在になってしまうことを考えると会社にとって大きな痛手となるため、生命保険を活用したリスク対策(就業不能時における売上減少時の補填、運転資金確保等、経済的リスクへの対策)を講じることとなった。

これまでは生命保険を活用できる部分を探るような活動をしがちであったが、経営課題を深堀することで今後懸念されるリスクが顕在化し、お客様が主体的にリスク対策の必要性を感じていただけたことは、今までにない大きな変化であった。

(5) 今後の展望(事業承継の本質は「世代を超えた長期事業計画の実践」)

事業承継は第2創業とも言われるように、時代の変化に適合した後継者による経営革新は企業のさらなる発展において欠かせないものである。

特に同族内承継においては、経営者が一世代若返るため、新たな価値観や組織風土の変革に繋がりやすく、「経営承継」は「資産承継」以上に重要な支援分野である。

しかしながら、経営者にとって事業承継は人生の中で1~2回程度しか経験できるものではないため、
税務や法務が関わる「資産承継」は外部専門家へ依頼しないと対応できないと考える一方、
「経営承継」は後継者が社長の背中を見て経営者としての心構えを学び、自社内で何とかなる
と考える方が多いように感じる。

私が考える事業承継の本質は、
「事業承継は先代経営者と後継者間で経営のバトンタッチをする一時的な経営課題ではなく、承継前後に時間をかけて取り組むべき長期事業計画の実践である」というものである。
「経営承継」をきっかけとした経営革新、事業再構築こそ事業承継において計画的に取り組むべき課題であり、専門家による早期支援の重要性を痛感している。

今後は事業承継対策に早期、かつ計画的に取り組むことの重要性を訴求し、中小企業診断士で得た横断的な知識により、全体最適となる視点(資産承継+経営承継)でトータル支援ができるように活動していきたい。

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