ローソンのチャレンジ企画!コーヒーサブスクの効果は?

【難易度】★★★☆☆

【この記事では】
・ローソンが試験導入したコーヒーのサブスクサービスについて考察しています。
・導入の背景には、チャレンジを促す組織制度があり、社内における仕組みづくりの重要性を記載しています。

「コーヒー1杯50円」

「実質半額」

ローソンがコーヒーのサブスクサービスを開始し、話題を集めていることが、IT Mediaビジネスオンラインに掲載されていましたので紹介いたします。

1カ月1500円で、通常価格110円のコーヒーを1日1杯購入できるとあって、消費者からは

「毎日コーヒーを飲むから使ってみたい」

「お得!」

といった声が多く集まっているようです。

【この記事のPOINT】

サブスクとは

そもそもサブスクは「サブスクリプション」の略で、英語では「予約購読」「定期購読」「会費」などの意味の言葉です。
月額課金・定額制で契約するサービスを指します。

サブスクはモノを所有するのではなく、必要なときに借りて利用するスタイルのサービスであり、新聞購読やインターネットのプロバイダー契約など従来の定額制のサービスは、企業目線で料金やサービス内容が決められていたのに対して、サブスクはユーザー目線のニーズにこたえて料金やサービス内容が変化するのが特長です。

すでに多くの方が利用している動画配信・音楽配信などのサービスだけでなく、カーシェア、音楽、洋服や時計・バッグ・家具のレンタルなど、サービス内容はますます幅広くなっています。

ローソンのコーヒーサブスクの概要

今回ご紹介するローソンのサブスクリプションサービス「MACHI cafe Prime(マチカフェプライム)」は、110円分のコーヒーを中心とするマチカフェドリンクを1日1回×1カ月利用できるプランで、価格は月1500円。

110円に該当するのはマチカフェコーヒーS(アイス/ホット)の2種類。
加えてマチカフェドリンク全商品を対象とし、110円を超える商品は差額分を支払う仕組みにしています。

1カ月を30日とすると、毎日利用した場合、コーヒー1杯は「50円」と半額以下になる計算です。

利用方法は

(1)対象店舗でローソンアプリのデジタル会員証を提示し、事前に利用券を購入する、
(2)1日1回、0時にローソンアプリに配信されるクーポンを店頭で提示し、マチカフェドリンクを購入

という流れです。

今回はまだ実証実験の段階で、マチカフェを提供する愛知県のローソン店舗のみの実施、7月末までの期間限定での提供とするようです。

導入に至った背景

ローソンでは毎年1回、社内公募でアイデアを募集し、採用されたら最大1億円の予算がもらえる、というチャレンジプログラム「億チャレ!」を実施しています。

コーヒーのサブスクはこのプログラムで愛知県の営業担当者2人が提案したアイデアです。

「これまでクーポンの配布などはしていたものの、『繰り返し購入するメリット』をあまり提供することができていなかったように感じています。世の中で『サブスク』が主流になる中で、ローソンとしても何か面白い取り組みができないかと考えていたこともあり、常連さんに喜んでいただけるサービスを提供したいという思いから、マチカフェプライムを開始しました」(ローソン)

チャレンジすることを推奨する制度があったからこそ、企画が生まれ、導入に至ったということですね。

ターゲットとする顧客

ターゲットは

(1)日常的にコーヒーを購入しているヘビーユーザー
(2)ローソンに来店していないがコーヒーは好きという人

を想定したようです。

ねらい

導入のねらいとしては、上記の

(1)ヘビーユーザーにはお得感を訴求し、より気軽にコーヒーを飲めるよう促す
(2)ローソンに来店していないがコーヒー好きな人には、「サブスクがあるから、ローソンに行ってコーヒーを購入しよう」という動機付けにつながり、需要の喚起にも期待する。

「サブスクがあるからローソンに来店する。そして、マチカフェを飲んでファンになってもらう、という狙いもあります」(ローソン)

さらに、ブラックコーヒーのみではなく、差額を支払えばカフェラテや紅茶も購入できるなど自由度を高くすることで、より幅広い層の獲得も見込むというアイデアも取り入れています。

「110円安く買える」と新作ドリンクを試し買いする客が増え、売り上げに貢献する可能性もありますね。

サブスクの効果については、

①「来店増」
②「マチカフェの売り上げ増」
③「買い合わせなどによる店舗全体の売り上げ増」

の3段階で考えているとのこと。

「スイーツやベーカリーとの買い合わせが多いと予想しています。
また、朝はコーヒーのみ、午後は仕事の合間のリラックス需要でスナック菓子などと一緒に購入するなど、何かしらの傾向が見えてくると思います。
時間帯や立地、客層でのサブスクの活用方法がどのように違うのか、実証実験で分析していきたいですね」(ローソン)

他にも、コーヒーと買い合わせが多い商品に関しては、セット商品の販売なども検討。「獲得したデータの活用には無限の可能性がある」との考えがあるようです。

また、今回の実験では、毎日0時に1日限定で使用できるクーポンを配信するという仕様にしています。

購入時に「30杯分の回数券を提供する」というニーズもあったようですが、「日常の体験としてコーヒーを楽しんでもらいたい」という思いから「毎日クーポンを配布」という仕組みにしたといいます。

出所:IT Mediaビジネスオンライン

導入の結果

4月16日からサブスクの利用が開始し、約1週間が経過しました。
反響については

「メディアやSNSなどで話題を集めたため、サブスク購入者が想定以上に多かった」(ローソン)

との結果に。

利用者の約8割が平日にクーポンを使用しており、休日になると少し利用は減るものの、「想定よりも落ちなかった」といいます。

今後は実績を踏まえ、曜日や時間、買い合わせがどういう風に変化していくのか分析し、サービスの在り方を検討していく予定だそうです。

この企画は7月までであり、8月の結果が気になるところです。

考察

リアル店舗×日常材サブスクは、どれだけ施策を巧妙に作ろうと、ユーザーの生活導線上にあるかないかで継続か否かが決まります。

その点ではローソンが自宅、オフィス近くにある方々は一定いるでしょうし、想定以上の反響があることは驚きではありません。
コーヒー購入をきっかけとしたアップセル/クロスセルの施策には繋がりそうです。

【アップセル】
顧客が購入したもの・購入しようとしているものよりも、
さらに上位の商材を提案し購買してもらうこと
目的は、顧客ひとりあたりの単価向上

【クロスセル】
顧客が購入しようとしている商材に関連する別商材を提案し、
一緒に購入してもらうこと
こちらもアップセルと同じく、顧客ひとりあたりの単価向上が目的

毎年1回社内公募でアイデアを募集し、採用されたら最大1億円の予算がもらえる、というチャレンジプログラム「億チャレ!」の中で産まれたアイデアという点も興味深いですね。

組織内の制度を整えることで、このようなアイデアが形になることは、色々と参考になる例だと感じました。

今後判明する試験導入の結果が気になりますね。

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