特別感を演出するニーズが拡大!(カジュアルギフト)

【難易度】★★★☆☆

【この記事では】
・SNSを通じて身近な人にプレゼントする「カジュアルギフト」が増加傾向
・個性を反映した”特別なギフト”に対するニーズが高まっている
・マーケティングの3つの基本である「誰に」「何を」「どのように」の中でも、「何を」提供するか、という視点が今後より重要になる

ということについて述べています。

【この記事のPOINT】

時代の流れによるギフトの変化

新型コロナウイルスの感染拡大はギフト市場にも大打撃を与え、人と会うこと自体が制限された2020年は、ギフト市場は小売り金額ベースで前年比7.5%減と大きく縮小しています(矢野経済研究所、以下同)。

特に、昔ながらの中元や歳暮といった儀礼的な「フォーマルギフト」は減少の一途をたどっています。

そのようなフォーマルギフトとは対照的に、近年、増加傾向を示しているのが親しい間柄で日常的に、あるいは誕生日などのイベントで贈り合う「カジュアルギフト」です。

「ギフト市場に変化の兆し ~キーワードは”カジュアル”~」という記事がDIAMOND ONLINEで取り上げられていましたので、今回ご紹介いたします。

このカジュアルギフトの市場で、新たな消費層として頭角を現しているのが“Z世代(※)”であり、化粧品大手のマンダム(大阪市中央区)の調査によると、カジュアルギフトをよく贈る人の割合は、Z世代が他世代と比較して多くなっているとのこと。

アメリカのコンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、Z世代とは、1996-2012年に生まれた若い世代を指し、2023年時点で10~20代にあたります。

その理由として考えられるのが、スマホでギフトを選び、SNSなどによって簡単に相手に贈ることができる「ソーシャルギフト」の普及です。

例えばLINEが提供している『LINEギフト』は、さまざまな商品の中から選択して、LINEでつながっている友達をタップするだけで、簡単にギフトを贈ることができます。
贈られた側はLINEに通知が来て、商品であれば自分の住所を入力して宅配で受け取ることができる仕組みです。

私は以前、仕事で隣の部署の方を手伝った際、スターバックスコーヒーの500円ギフトカードをメールでいただいたことがあります。
URLから受取れる手軽さに驚き、それよりもちょっとした心遣いに感動したのを覚えています。
こういうさりげないギフトは嬉しいですよね。

カスタマイズギフトが人気

今回の記事で私が注目したのは、カジュアルギフトの中で最近目立ってきているのが、“カスタマイズする工夫”という点でした。

ちょっとしたお礼であれば、私が経験したようにドリンクチケット等で十分かと思いますが、誕生日やその他の特別なことに対する本格的なギフトであれば、Z世代特有の配慮がポイントになるということです。

Z世代はSNSを通じて日々他者のさまざまな趣味や価値観に触れ、そうした多様性を認めると同時に、自分の個性や自分らしさも重視する傾向が見られるようです。
さらにその自分らしさを友人や知人など他者にもわかってほしいと思う“承認欲求”が強いのも特徴であり、ギフトでも「自分のことをわかってくれている」「これは自分に対する特別なギフトである」ことが伝わり満足感が得られるものが、より喜ばれる傾向にあるそうです。

つまり、万人受けするマス商品ではなく、贈る相手の個性に合わせて、カスタマイズやパーソナライズされた要素があることが、ギフト選びでは重要となってきます。
単に高級だったり、レアな商品であったりすることより、“自分に向けたものである”点が、相手に気に入られるポイントになるということですね。

そうしたZ世代特有の事情を考慮したギフト、サービスが登場し始めており、記事の中ではマンダムが提供しているカスタマイズギフトサービス「EMOTIONS by mandom」が取り上げられていました。

これはヘアスタイリング剤や汗を拭きとるボディペーパーの商品ラベルに、自分たちの思い出の写真(画像)とメッセージを入れて、オリジナルのギフトを作ることができるサービスです。

出所:マンダムHPより

スマホもしくはパソコンで専用のサイトにアクセスして、商品とラベルのフレームを選択。好きな写真をアップロードし、メッセージなどを入力して注文手続きをすれば、指定した配送先に届く仕組み。

若年層の間では、コロナ禍で希薄になってしまった友達関係を修復する「友情築き直し」が、アフターコロナの重要な活動のひとつとなっていることから、カスタマイズやパーソナライズされた承認欲求充足型ギフトは、そうした兆候の中で、今後活用が進む可能性が高まりそうです。

私は以前、Appleの無料の文字刻印サービスを使ってオリジナリティを表現したことがありますが、マンダムのようにより踏み込んだカスタマイズが増えているんですね。

大手百貨店も参入

「カジュアルギフト」や「ソーシャルギフト」で検索すると、これに関する専門会社HPの他、大手百貨店の高島屋、三越伊勢丹で展開するオンラインサービスも検索上位に出てきました。

ギフトの品揃えも大変多く、予算から選べるようになっていたり、申込み手順もわかりやすく記載されていました。
(画像をクリックすると拡大します)

出所:高島屋HPより(以下、同)

マーケティングの観点で考える~「誰に」「何を」「どのように」~

こうしたカジュアルギフトには、下記のような特徴があります。

①相手の住所不要
 →SNSやメールアドレスへ送るだけという手軽さ
②今すぐ贈れる
 →昨今増えた”オンライン飲み会”で、その場でURLをシェアすれば気軽にサプライズができる等
③遠くにいても贈れる
 →リモートの機会も多くなり、遠方の方にも気軽に贈れる
④SNSやオンラインで知りあった友達に匿名(ニックネーム)で贈れる
 →SNS上の友達へプライバシーを守った贈り物に最適

マーケティングでは、「誰に」「何を」「どのように」という3つの視点を常に意識して分析~対策検討することが重要ですが、この基本に当てはめて「カジュアルギフト市場」を自分なりに考えてみました。

「どのように」

現在のようにネットが生活に根付き、SNSを通じたコミュニケーションが定着したことで、これまで見てきたようなカジュアルギフトはさらに増えていくと思われます。

その結果、

「誰に」

“身近な知り合い”に贈りやすくなってきました。

今後は、こういった環境が定着したことにより、

「何を」

“カスタマイズされた”、“パーソナライズされた”
特別感のあるギフトが価値を持ち、
このようなプレゼントする側のニーズも高まり、多様化が進んでいくと思われます。

マーケティングの基本でもある、他と差別化された商品を作り上げられるか
このニーズを捉えた活動を行っていくことで、ビジネスチャンス拡大に繋がっていきますね。

Please share!
  • URLをコピーしました!
【この記事のPOINT】