ちょっとしたアイデアが生み出す大きな価値

【難易度】★★★☆☆

【この記事では】
・強制するのではなく、自発的に行動を促すためのアプローチである「ナッジ理論」について記載しています。
・リサイクルの必要性について、私自身、意識が高まったことについても述べています。

【この記事のPOINT】

緑茶「伊右衛門」のおみくじ付きラベル

私は普段から水筒を持ち歩く派なのですが、先日自宅に水筒を忘れてしまい、サントリーの「伊右衛門」を購入しました。

すると、ラベルに「この裏におみくじあり」との記載が!

ラベルを剥がしてみると・・・「大吉」っ!!

些細なことですが、結構テンションが上がりました↑↑

その後、冷静になってから気づいたのですが、
おみくじを確認するために、自然とラベルをはがしたくなるこの仕組みは、
そのままゴミ分別につながり、エコを考慮した発想ではないか!?

と気づきました。

ネットで検索したところ、

サントリー「伊右衛門」のおみくじ付きラベルが「はがしたくなるいいアイデア」

ごみの分別が捗る!

とやはり話題になっていました。

サントリーのねらい

サントリーのHPを確認したところ、今回のおみくじ導入に関して

最大の特長である「いれたてのような緑の液色」に気付いていただきたく、
ラベル裏に縁起の良いイラスト8種類を入れていました。
より多くのお客様に伊右衛門の液色に気付いていただきたいという思いから、2020年8月にはおみくじも加え、集めて応募するキャンペーンを実施しました。

とだけしか記載がなく、ゴミ分別を狙った点に関する言及はなかったのですが、おそらくそうした狙いがあったと思っています(真意は定かでありませんが)。

ペットボトルのリサイクル効果

今回の件をきっかけにリサイクルについて調べてみました。

ペットボトルやプラマークのあるもの(容器包装プラスチック類)は容器包装リサイクル法という法律でリサイクルを推進することが求められています。

日本国内では、年間593千トン(2019年度)のペットボトルが販売されており、ボトル本数にすると252億本にのぼります。 
日本の人口1.25億人として計算すると、年間1人あたり約200本消費している計算になりますね。
そのうちの86%が、容器やフィルム、化学繊維(衣料)、ペットボトル等にリサイクルされています。

PETボトルリサイクル協議会のデータによると、

リサイクルをした場合では、920千トンの二酸化炭素が発生するのに対して、
リサイクルを全くしないと仮定した場合では、 ごみとして廃棄するために1,150千トン、新しくプラスチック製品を作るのに1,239千トンの二酸化炭素が発生するとのデータがありました。

※上図はクリックすると拡大されます。

その結果、リサイクルする場合としない場合の差し引きで、年間1,469千トン(2019年)の二酸化炭素が、 リサイクルすることで削減できると推計されています。

こうした効果が見込めるとすると、一人一人の取り組みは重要ですね。

奥さんに聞いたところ、捨てる際に分別するものは結構あるとのこと(私の意識が低めで反省しています)。

例えば醤油であれば、フタはプラスチック、入れ物本体はペットボトル、ラベルは紙ごみに分別しているようです。(地域によって分別ルールは異なるかと思いますが)

ナッジ理論の効果

このようなラベル裏のおみくじは、「ラベルを剥がして捨ててください」と表記するよりも主体的行動を促し、大変効果的です。
人の気持ちを自発的に動かすためには、このようなアプローチが効果的だな〜としみじみ感じました。

このようなアプローチを行動経済学において「ナッジ理論」と言います。,

『ナッジ』の意味は、「より良い選択を後押しするために、小さなきっかけをつくること」です。

強制するのではなく、自発的に選択させるためのアプローチを指します。

ナッジ理論は、強制されるよりもそれとなくしてほしいことを伝える方が、人間は動きやすいという性質に基づいています。

身近にあるナッジ理論には以下のようなものがあります。

レジに並ぶ際の「足跡」

コンビニなどで買い物をする際、レジ前の床に足跡マークが描かれているのを見たことがありますよね。

縦と横で列が分かれることを防ぐのと同時に、コロナ禍においては、「密」を防ぐための距離の目安として効果を発揮しました。

階段を使いたくなる仕掛け

駅構内やデパートなどでエスカレーターと階段があったとき、つい楽なエスカレーターを選びがちではないでしょうか。

そこで、階段に「ここまで登って〇〇カロリー」と表記したところ、階段を選ぶ人が増えたという事例があります。

どちらを使うかは自由ですが、これは健康促進のために階段を登りたくなる仕掛けをしたナッジ理論です。

自転車置き場の貼り紙

最後に若干のブラックユーモアを含んだ例です。

ある雑居ビルでは放置自転車が増えてしまったため、「ここは自転車捨て場です。ご自由にお持ちください」という貼り紙をしました。

「自転車を放置しないでください」と伝えるよりも、放置すると持っていかれてしまうと伝えることで、放置自転車問題を解決に繋がったようです。

ブラックなユーモアが利いたナッジ理論ですが、発想の転換によって見事に効果が得られた事例ですね。

気になったこと

今回テーマに取り上げた「伊右衛門のおみくじ」について、最後にどうでもいいことを一言。

今回、私は「大吉」だったのですが

「凶」とか「大凶」って入っているものなのでしょうか・・・?

消費者のテンションを下げるような「凶」といったおみくじ結果は入っていないものなのでしょうか?

ちょっと気になりました。

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