経営に必要な4つの視点 ~外部専門家の活用法~

【難易度】★★★☆☆

要約
  • 経営に必要な4つの要素とは「ルール」「数字」「ヒト」「ビジネス」
  • 経営に必要な4つの要素を「バランスよく」外部専門家の力を適切な場面で活用することが重要
  • 会計士、税理士、弁護士、社労士等はその分野の専門家であり、課題が特定できてから支援を仰ぐことが効果的
  • 中小企業診断士は経営全般をバランスよく見渡し、経営の課題を特定し、解決に向けた支援を行う

経営に必要な4つの要素

経営に必要な4つの要素とは「ルール」「数字」「ヒト」「ビジネス」です。
言葉の意味は様々に解釈できますので、一般的な解釈を下記に示します。

①「ルール」
法律で決められたことを守ること(法令順守)。
コンプライアンスという狭い要素ばかりではなく、経営規範、社会のルールも含む大きな概念としています。

②「数字」
単純に会計的な部分や資金繰り、税金ばかりではなく、もっと広い意味で、過去・現在・未来に渡って経営に関わる数字的要素(定量的要素)全般をここでは指しています。

③「ヒト」
労務関係などの人事的要素ばかりではなく、経営者や取引先等の外部の人達を含めた、人の思考や行動によって左右される要素を示しています。

④「ビジネス」
現時点のビジネスモデルだけではなく、過去を見つめ直し、未来を予測するといった、長年にわたって継続すべき事業全般の要素と捉えててください。

出所:「種類株式・民事信託を活用した戦略的事業承継の実践と手法」. 河合保弘著(日本法令)を参考に作成

上の図は司法書士の河合保弘先生が表現している、「会社の4要素」のイメージです。

「数字」⇔「ヒト」、「ビジネス」⇔「ルール」は対極の関係


図は平面ですが、実際には「会社経営」を頂上とした山のような下記立体図のようになっていると捉えてください。

各要素はいわば山の麓(ふもと)に位置しているということになりますから、例えば「ルール」と「ビジネス」は全くの対極の位置になっていて、互いに互いの存在が見えないということになります。


具体的には、ルールばかりを考えて「前例のないことは何もやらない」というような姿勢では新しいビジネスなど何もできないでしょうし、逆にビジネスばかりを考えて「儲かることなら何でもやろう」というような姿勢では、法令違反に抵触して会社全体が根本から崩れるというリスクを負う可能性が高まるということになります。


これは、「ヒト」と「数字」についても同じことで、人を安い賃金でこき使えば数字は良くなりますが、それは一時的なもので最終的に優秀な人材を失って経営力が低下し、数字も悪くなるということになります。
逆に人の待遇をあまりにも良くしすぎれば「人件費倒れ」という本末転倒の結果になることでしょう。


このように、それぞれの要素は微妙に拮抗し絡み合っているだけに、この考え方において、経営判断とは常に経営の4要素のバランスを考えて行わなければならず、会社経営者は、いわば山の頂上に立って四方八方を見渡したうえで判断すべきだと言えます。

経営に必要な4つの要素を「バランスよく」外部専門家の力を適切な場面で活用することが重要

社長一人で会社経営の全てを作り上げる必要はありません。
社長一人、もしくは社内人材だけでやったから利益が伸びたり、外部からの評判が高くなるわけではないですからね。

そうなると、経営陣を外部から支援する専門家に、経営者だけでは不足する知識・発想を求めるということになります。
各要素を専門とする法律家や会計人等の専門家は、自分の専門分野の深い知識は当然持っていますが、自分の専門分野以外の認識が把握できないケースが大半です。

これは専門範囲の問題ですので、仕方のないことです。

単一分野のみ詳しい専門家を経営全般のアドバイザーにすることは、危険なことであります。

※各専門家の方が持つ深い知識は素晴らしく、私自身敬意を抱いておりますので、誤解の無いようお願いいたします。
私の知り合いにも多くの会計士、税理士、弁護士、社労士等の方々がいますが、皆さん知識豊富で考え方も素晴らしい方々です。

あくまで“経営全般”という観点でのお話です。

その意味から、経営全般を見渡す能力と感性を持った者が外部から総合的に支援するという形態が理想的な形となります。

その点、中小企業診断士は、経営の4要素である「ルール」「数字」「ヒト」「ビジネス」を全てカバーできます。
実際、資格取得時にはそれぞれの受験科目があり、全ての科目において合格することが必須となっています。

当然、中小企業診断士でも人によって専門分野がことなりますので、専門外の分野において詳細支援が必要な場合には、それぞれの専門家を紹介し、バランスをとりながら最善の対策をとることが可能です。

そうした意味では、中小企業診断士としてお客様の課題解決をスムーズにできるよう、知識をアップデートし、全体を見渡す視点を常に持ち、信頼のおける他専門家とのネットワーク構築を日頃から構築していかなければいけないと感じています。

会社全体を俯瞰し、必要に応じて最適な専門家への橋渡しを行い、経営者の最善の対策を講じることが私の役目です。

信頼を得られる最良の支援に取り組んでまいります。

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