【正しい理解が必要です】そもそも「事業承継」とは?

【難易度】★★★☆☆

【この記事をお勧めする方】
・事業承継を検討している方
事業承継は関係ないと思っている方
・後継者の方

【この記事のPOINT】

事業承継とは“全ての法人”に関わる経営課題

会社を経営するにあたり、意思決定が必要になります。
意思決定は立場の偉い社長がするもの(もしくは役員)、社長には逆らえない、と思いがちですが、会社の意思決定は人間関係で決まるものではありません。
会社法上、意思決定は「自社株」を持っている割合(=議決権割合)で決まります。

つまり、自社株を多く持っている人が会社の決定権限を持っている、ということになります。

個人は寿命があり人生は有限である一方、会社は永続的に発展することが前提となっています。
そうなると社長個人が永続的に自社株を保有し続け、経営に携わることは不可能であり、遅かれ早かれ、全ての法人に事業承継という問題が関わってきます。


避けては通れない問題です。


この事業承継を通じて、会社の業績や社風が大きく変わることも多く、さらなる発展を遂げる会社があれば、一気に経営悪化してしまう会社もあります。

承継すべき資源は「人(経営権)」「資産」「知的資産」の3つ

「うちは息子に社長を譲って、自分は会長に退いているから事業承継は終わっているよ」
という社長に詳細を伺うと、自社株などの「資産」はまだ社長が持っており、社長である息子は1株も持っていない、というケースがあります。


逆に、「うちは自社株を息子に渡し終えたから、事業承継は済んでいる」
という社長でも、後継者である息子は経営する能力(適切な意思決定や社長としての心構え、経営知識、取引先との関係)が不十分のまま社長となり、一気に業績が悪化するケースもあります。


つまり、事業承継とは「人(経営権)」「資産」「知的資産」3つの承継を全て完了させる必要があります。

成功の鍵は早期に知的資産の見える化を行い、対策の方向性を認識すること

成功の鍵は、早い段階から将来のやるべきことを把握しておくことです。


特に「資産」や「人」と異なり、「知的資産」は目に見えません。
そのため、事業承継においては、早いうちから可視化(見える化)し、社内共有と承継計画を立てることが重要になります。
具体的には、経営理念の浸透、ノウハウのマニュアル化、取引先との人脈構築、許認可一覧表の作成等があたります。

事業承継は時代の変化に適合するため(=経営革新)の絶好のチャンス

法人に寿命はないものの、経営の土台となるビジネスモデルには人間と同様、寿命があると言われています。

日本の中小企業における事業承継は、親子間承継が多く、30歳程度の親子間年齢差により、大きな価値観の変化が起こりやすい、と言われています。

つまり、息子は経営の知識・経験が乏しくても、若い時から情報化社会に慣れ親しみ、情報システム活用を経営に取り入れやすくなるなど、事業承継は時代の変化に適合し、経営革新を行う絶好のチャンスとも考えることができます

承継するのに苦労するのが「自社株」~自社株は価値が変わり続ける~

株式とは、会社を設立する時に社長個人がお金を拠出(出資)しますが、その対価として株式が付与され、株主となります。
株数は任意に設定できますが、出資金を株数で小口化するようなイメージです。
例えば、1000万円を社長個人が出資したのに対し、会社は200株に小口化して、1株あたり額面5万円の株式を全て社長に発行する場合などです。
「株価は変わらない」と誤解している社長がいますが、実は「株価は変わり続ける」という特性があります


上記例の場合、社長が全ての株式200株を持っていた場合、最初は1000万円の評価額ですが、会社の経営状況で株価が変動し、20年後には1億円まで上昇していた、などということはよくあります。
自社株は現金ではないのですが、税務上、現金と同様に評価されます
息子に株を渡そうとして、一気に1億円の自社株を渡した場合、税務上「1億円の価値ある株式を息子がもらい、得をしたから、得をした分に贈与税をかけます。現金で贈与税を払ってください。」という考え方になります。
しかも、上記例の場合は贈与税の税率は55%が適用され、自社株自体はただで親からもらったのに、約5000万円程度の贈与税を現金で国に払わなければならなくなる、という事態になります。


そうした結果、息子に自社株を渡したくても渡せない、という会社が多く存在しているということです。

私の経験(事業承継コンサルタントとして)からお伝えしたいこと

①自分には関係ないと思っている経営者の方が多い
②事業承継は「点」ではなく「線」として捉える
③対策を講じるのは長期が有利。対策をすぐ講じない場合でも、将来の方向性が見えている or 見えていない、では大きく変わってくる

①自分には関係ないと思っている経営者が多い

社長としてあと数十年は続ける、もしくは、一生社長でいる、と考えている社長は、「事業承継なんて自分に関係ない」を思っている人が多いと感じます。
しかし、後継者育成には時間がかかりますし、自社株対策なども渡す直前に短期で対策を講じてもさほど効果は見込めません
社長自身が事業承継への認識を変えることが大変重要です。
専門家のアドバイスや、社長仲間との情報交換、セミナー参加などで、事業承継対策の必要性を理解することが全てのスタートです。

②事業承継は点ではなく、線として捉える

事業承継という言葉から、「社長が勇退して、後継者に社長交代する“その時”」ととらえる方が多くいますが、社長交代の“その時”よりもずっと前から事業承継対策を行うことが重要です。社長交代の“その時”以後も次世代の経営が軌道に乗るまでも事業承継対策が必要になるため、事業承継は引継ぎ時点の「点」ではなく、長期に及ぶ「線」でとらえることが重要です。

③対策を講じるのは長期が有利

対策をすぐ講じない場合でも、将来の方向性が見えているorいないでは大きく変わってくる

社長交代時期の間近で対策を講じようとしても、効果のある対応はわずかなものに限られてきます。後継者育成や自社株対策などは、社長交代の数年、いや10~20年前から始めるべきです。

経営学の第一人者であるピーター・ドラッカーは「事業承継は偉大なる経営者が受けなければならない最後の最も大事なテストである」という言葉を残しています

先延ばししたくなる心理は理解できますが、少しでも早く事業承継に向けて着手することが大事です。

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