【難易度】★★★☆☆
「PEST分析」とは、マクロな視点から外部環境を把握すること
「PEST分析」とは、自社の事業や組織に影響を与えるマクロ的な環境要因を考える際に便利なフレームワークのことで、戦略を立てたり、具体的な戦術を設計する際に活躍します。
PESTは、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字からとっています。
・Politics(政治) 政治・法律・業界動向
・Economy(経済)景気・賃金・経済動向
・Society(社会) 人口・社会変化の動向
・Technology(技術) 技術の進展・革新動向
政治的要因(Politics)の分析
政治的要因の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 政権交代
- 法改正(規制の強化・緩和)
- 税制改正
- 条例改正 など
政治体制の変化や法改正、税制改正などがあると、企業のビジネスに大きな影響が及ぶことがあります。法規制によって市場が縮小することもあれば、規制緩和によって特定の市場が急拡大することもあります。
政治的な動きが自社のビジネスにとって機会になる可能性もあれば、脅威になる可能性もあるため、常に動向を注視しておく必要があります。
経済的要因(Economy)の分析
経済的要因の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 経済成長率
- 経済状況
- 個人消費
- 為替相場
- 株価
- 金利 など
このような経済指標の推移をチェックし、自社にとってのビジネスチャンスやビジネスリスクを捉えていきます。バブル崩壊やリーマンショック、最近で言えば新型コロナウイルスの感染拡大によって様々なビジネスが大きな影響を受けています。
長期スパンで経済の動向を予測することで、チャンスは最大限に活かし、リスクは最小限に抑えなければいけません。
社会的要因(Society)の分析
社会的要因の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 人口動態
- 流行
- 世論
- 宗教
- 文化・トレンド
- 生活習慣・ライフスタイル
- 教育
- 自然環境 など
日本の場合、少子高齢化は様々なビジネスに変容をもたらしています。また、インターネットやスマートフォンの普及は消費者の価値観やライフスタイル、購買行動を劇的に変えました。
このような社会の変化による影響を機敏に捉え、先を見据えて商品・サービスを開発していかなければ企業の成長は望めないでしょう。
技術的要因(Technology)の分析
技術的要因の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- インフラ
- 新テクノロジー
- イノベーション
- 特許 など
技術革新がビジネスに与えた影響として分かりやすいのが、映像コンテンツです。映像技術の進化により、ビデオテープはDVD、ブルーレイディスクへと移り変わり、インターネット回線の高速化によってオンライン動画配信サービスが拡大しました。
その結果、レンタルビデオという業態は縮小を余儀なくされました。今後も、AIやIoT、5Gなどの技術革新によって、様々なビジネスが大きな影響を受けるはずです。

PEST分析を行う際は「何のために?」がブレないようにすることが重要
PEST分析の4要素を切り口として、現在の流れを把握し、将来の変化を予測することで、事業の未来シナリオを設計します。

この分析を行う際も、“フレームワークの罠”に陥らないように注意が必要です。
例えば、枠組みを埋めることが目的となってしまい、「結局何のための分析だったのか?」が不明確になるケースが考えられます。
最も重要なことは、「何に関して意思決定したいのか?」という目的を明確にして分析を始めることです。
同じ「少子高齢化」という社会の流れをとって見ても、衣料店においては、“シルバー世代向け衣料”という観点では追い風になっても、“子ども向け衣料”については、逆風になるため、同じ会社の中でも「何に関して意思決定をしたいのか?」を明確にしておく必要があります。
PEST分析の具体例
また別の例を挙げると、「働く女性向けのビジネスシューズを商品開発すべきかどうかを意思決定したい」など、自社の状況を踏まえた目的を設定したうえで、PEST分析に取りかかるようにすることが重要です。

この分析については、日頃から新聞やニュースで情報収集のアンテナを張っておくこと、その際は、上記4つのボックスに整理して、事実から何が考えられるか、という自分なりの予測視点を持ち続けることが重要です。
PEST分析は、あくまでも外部環境をマクロ分析するフレームワークです。
PEST分析の結果を最大限に活用するためには、他のフレームワークと連携するのが効果的です。
連携すべきフレームワークとしては、
外部環境をミクロ分析して自社の脅威を把握する「5フォース分析」、
強み・弱み・機会・脅威という4つの要素から自社を分析する「SWOT分析」、
自社・競合・顧客という3つの要素を分析することで自社の成功要因を導き出す「3C分析」
などが挙げられます。
これらのフレームワークは別の記事で見ていきます。

