【難易度】★★★☆☆
「コアコンピタンス」とは企業活動における中核となる強みのこと
ここでは、会社の「内部」に目を向け、“自社の強みは何か?”を明確にする内部環境分析に関して見ていきます。
自社の真の強みのことを「コアコンピタンス」といい、顧客へ価値提供を行う能力のうち、他社には真似できない中核的な能力のことを示します。
例えば、
- ホンダのエンジン技術
- ソニーの小型化技術
- シャープの液晶技術など。
どれも日本を代表する技術力であり、かつ世界を見てもなかなか真似できない高い自社能力です。
「VRIO分析」により企業の競争優位性を確保する
この他社には真似できない自社の強みや経営資源分析する方法に「VRIO分析」があります。

経営資源には、自社の持っている技術や開発力、営業力、人材、ブランド、組織風土など、企業の価値提供におけるさまざまな資源がありますが、分析対象となる資源に対して、「Valuable(経済価値)」「Rarity(希少性)」「Inimitable(模倣困難性)」「Organization(組織/仕組み)」の4つの切り口から、情報収集や評価、今後の方針を検討します。
この4つの視点で分析対象とする資源をリストアップし、各資源についてVRIOの項目ごとに評価を行います。
その際、下記のような問いをもとに考えるとすすめやすくなります。

Valuable(経済価値)
その資源を持つことで、チャンスを活かすことができるか?
競合の強みを無力化できるか?
ピンチを無効かできるか?
企業の経済的な価値といっても、単純に金銭的なリソースのことではありません。
人材や建築物、機器類などのリソースもすべて含めたうえでピンチを最小限に食い止められるか、チャンスを最大限に生かせるか、という観点で考えましょう。
この経済価値が生み出すことができない場合は「競争劣位の状態」となり、他社に比べて競争力に欠ける状態となります。
Rarity(希少性)
その資源を持っている企業や、活用している企業は少ないか?
業界において自社やプロジェクトのビジネスは希少性が高いのかについて考えます。
「競合も実行しているのか」という観点で考えることが重要です。
この希少性が確保できていないと「競争均衡の状態」になり、価値はあるが希少性が低いので、競合が多く他社との競争力が拮抗しているという状態になります。
Inimitable(模倣困難性)
競合がその資源を獲得しようとした場合には、大きなコストが必要か?
また、その資源を保有することで、コスト上、不利な状態になるか?
業界において自社やプロジェクトのビジネスは模倣しやすいのか、簡単には真似できないのかについて考えます。
「現在のビジネス活動をするためにはリソースやコストがどれくらいかかるのか」という観点で考え、この模倣困難性が確保できていないと「一時的な競争優位の状態」となります。つまり、希少性が低い市場にいるものの模倣されやすいので、現状だけは競争優位性を担保できていますが、いつ競争均衡に戻ってしまうか分からない状況です。
Organization(組織/仕組み)」
資源を有効活用するための組織体制(仕組みやルール、制度、運用フローなど)は整っているか?
経済的な価値、希少性、模倣可能性の3点を守るために組織的な運営がきちんと回っているかについて考えます。
運営方針が固まっていることで、長期的にわたって今の内部環境の強みを維持できます。
組織化ができている場合は「持続的な競争優位の状態」となり、希少性が高く模倣可能性が低いので長きにわたって競争優位を確保できます。
上記4項目を全て確保できている場合は「持続的な競争優位であり、経営資源を最大に生かせている状態」になります。
VRIO分析の評価方法
VRIO分析の観点で評価する場合は、下記の通り、企業活動に必要な資源や業務フローに応じて、4つの観点で強みを確保できているか評価する方法があります。

評価を終えたら、どの資源を強化することで競争優位性を見出していくのか、各資源について今後どのように強化していくのか、といった対策の方向性を整理します。
そのようなプロセスを経ることで、自社の保有している資源を可視化でき、競争優位性を見出すことができるようになります。
VRIO分析の活用事例
トヨタの事例
価値(Value):柔軟な対応力
トヨタは自社工場を保有しているため、需給のバランスや経済情勢などに合わせ、生産台数などを柔軟に変更できるのが強みです。
また、こうした工場を世界各地に配備することで販売機会を増やし、世界最大級の自動車メーカーという地位の確立に成功しています。
希少性(Rarely):ロボット共存型の工場
自動車業界において自社工場を持つことは珍しくはありません。しかし、トヨタの工場には希少性が高いAI搬送ロボット「EVE500M」が導入されています。
EVE500Mは、ロボットが周囲の状況を確認しながら最適なルートを走行する「SLAM方式」を採用しており、作業員とロボットの安全な共存が可能です。ロボット共存型の工場を構築していることは非常に希少性が高く、現状は他社が入り込んでいない部分になります。
模範可能性(Imitability):かんばん方式
トヨタの工場には、「かんばん方式(ジャストインタイム方式)」と呼ばれる独自の生産方式が導入されています。この方式は、「必要なものを、必要なときに、必要な分だけ」製造することに特化し、生産効率を高めて無駄な在庫を増やさないことを可能にします。
1960年代から続く歴史的・文化的な手法でもあり、膨大なコストを費やしたとしても完璧に模倣することはできません。
組織(Organization):きめ細かなマネジメント
トヨタは、自社工場や生産方式という優れた経営資源を持ちつつ、現場単位からグループ単位にいたるまで、組織的な統率をとることに長けています。
創始者である豊田佐吉の考え方をまとめた「豊田綱領」による価値観の形成や、基本理念をベースとしたマネジメントや教育の徹底などにより、世界中に通用する競争優位を確立したのです。

ユニクロの事例
アパレル業界を席捲しているユニクロのモットーは低価格で高品質な商品で、これは経済価値に該当します。
希少価値としては、企画から製造販売までを自社で行うモデルを構築している点が挙げられます。
高品質なのにリーズナブルなカジュアルウェアという点で、競合他社がまねできない希少性も持っています。
さらに、ユニクロでは社員教育にも力を入れていて、組織構造の安定化という点で仕組づくりが構築できています。

※Copylight Free Image
まとめ
マーケティング戦略の立案には外的環境と内的環境の分析が必須です。
つまり、自社の市場における立ち位置や経済情勢などの環境を把握して、次に自社が市場へ勝負を仕掛けるための経営資源を把握することが重要となります。
内的環境の分析に特化したVRIO分析で、自社が持ちうる戦力を惜しみなく使えるように整理することが重要です。

