【難易度】★★★☆☆
TTPSとは?
初めて「TTPS」という言葉を見たとき、海外の著名な学者が提唱した崇高な経営理論かと思いました。
(Tactics(戦術)、Techniques(技術)、Plan(計画)、Strategy(戦略)の略語等!?)
ところが・・・「TTPS」=“徹底的にパクって進化させる”の頭文字を取ってつくられた造語
であり、若干肩透かしをくらいました(笑)。
今回は「学びを最大化する TTPS (徹底的にパクって進化させる) マネジメント」について紹介させていただきます。
本書の著者の一人である中尾隆一郎氏がリクルートでスーモカウンターの責任者をしていた時期に、仲間と一緒に試行錯誤しながら事業を成長させていく際に考えついた言葉であり、実践していた方法論です。
この本で学べるのは、個人や組織が「自ら学べるようになり、そしてその方法自体を進化させる」という仕組み化の技術です。
偉大な先人の知恵から学ぶ
TTP(徹底的にパクる)は、
私が常に意識している「偉大な先人の知恵から学ぶこと」をベースにした考えでもあり、
さまざまな場面で活用できます。
科学の世界では、「巨人の肩に乗る」と表現することがあるようです。
ここでいう巨人とは、先人の科学者の中で、偉大な功績を残した人を指します。
例えばニュートンやアインシュタインのような人で、その分野の偉大な巨人がいるのであれば、
まず、その人が残した成果を学びましょうということ。
巨人の肩に乗ることができれば、高い位置から見ることができ、
自分の高さでは見えなかった、いろいろな物事が見えるようになるはずという考え方です。

つまり、新しいことに取り組む場合、まず巨人の肩に上って全体像を把握し、その次に自分自身のオリジナリティーを発揮して、さらに高い場所から物事を見られるようにする。
この手順の方が効率的である、ということなんですね。
高い業績をあげている個人やチーム(ハイパフォーマー)のノウハウや最高にうまくいった成功事例(ベストプラクティス)を共有して、それを組織全体で、全従業員がTTP=徹底的にパクる。
これはまさに組織の「学び」であり、武道や茶道における「守破離」の「守」にあたります。
そして「S」=独自に進化させ成果を上げていくことこそ「破」にあたる、という考え方になります。
制約条件理論について
TTPSを実践する上で、押さえておきたい考え方に「制約条件理論」があります。
「制約条件理論」とは、「一番弱いところを強化すると成果につながる」という考え方。
既に強いところや成果につながらないところをいくら強化しても、成果は上がりません。
成果を出したいなら、一番弱いところを強化(TTP)していくということになります。

TTPSを実践する5つのステップ
① ゴールを設定する
まずはゴールの確認です。
”何のため”にTTP(徹底的にパクる)するのかを定めます。

② TTPするところを見つける
次に”どの部分”を徹底的にパクるかを定めます。
TTPする際に効率的(すぐに結果が出る)なのは、「最も個人や組織が弱い箇所」で行うことであり、「最も弱い箇所」を定量データや定性情報などから見つけ出し、そこをTTPして、強化していくことが効果的です。
どうせ挑戦するなら、より効果的なところを対象にするという「制約条件理論」を参考にTTPするところを見つけましょう。
③ ベストプラクティスを見つけ、仮説を立てる
TTPする場所が特定できたら、TTPする”内容”を見つけます。
ここで大事なことは、ベストプラクティス(成功事例)から学ぶという点です。
たとえば、身近な先輩経営者からTTPすればいいという話ではなく、
「成功している経営者」を見つけて、その人から教えを請うという考え方です。
④ 学びの仕組み化でサイクルを回す
ノウハウは現場で実践してこそ意味があります。
TTP する仕組みをつくって、継続実践していくことが大変重要になります。
本書の中では下記のような継続する方法が挙げられています。
1. リーダー会議でノウハウ共有の場を作る
2. 社内でロールプレイングの共有実践

⑤ 進化させる
TTPのサイクルが回る状態=「学びの仕組み化」がうまく回るようになってきたら、「S(進化)」にステップアップさせる段階です。
社長の考え、自社のオリジナリティ、業界内における自社の立ち位置を踏まえた最適な手法をここで反映していきます。
学んできた「型」を破り、次の段階に組織を進化させましょう!

私の感想・意見
この本で最も重要だと感じたのは、まずは「徹底的にパクること」ということです。
「パクる」=「悪」
との印象を持っている方も多いのではないでしょうか?
しかし、私は「徹底的にパクること」は、成功事例の分析であり、成功要因のあくなき追及
だと考えています。
(当然、著作権侵害等はだめですよ~)
「パクる」という表現は、本書におけるキャッチーな響きをもたらす意味でとても効果的かと思いますが、「徹底的に学ぶ」「徹底的に研究・分析する」等と置き換えてもいいかもしれません。
私は大学院で修士論文を書く際、先行研究を読み漁った際、
「自分が研究しようとしているテーマは既に数多くの研究結果が蓄積されており、
ある一定の答えがでていた」
ということが数多くありました。
最初からオリジナリティを発揮しようとしても、既に先人の方が試行錯誤の末にベストプラックスを出しているケースが大半です。
であるならば、まずは徹底的にパクって、その次にオリジナリティを発揮することで効率的に仕事を進めることができます。
その結果、我々が生み出す付加価値を、よりスピーディに社会に提供することにもつながります。
まずは先人の知恵を吸収するところから始めていきましょう!


