【難易度】★★★★☆
これからの時代は、目に見えない「知的資産の創造」が成功のキーワード
「作れば売れる20世紀型」経済環境から、
「体験や共感を求めるユーザの多様な価値観が市場を牽引する21世紀型」へ変化しています。
ユーザの価値観は多様化している中、企業の有する資源を組み合わせて、企業理念に適合する価値を創造することにおいて、企業の目に見えない“強み”である知的資産の占める役割が増大しています。
知的資産とは人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等の目に見えない資産のことで、企業の競争力の源泉となるものです。
これは、特許やノウハウなどの知的財産だけではなく、組織や人材、ネットワークなどの企業の強みとなる資産を総称する幅広い考え方であり、企業のバランスシートには記載がないため、目に見えない資産と呼ばれています。
この知的資産を自覚し、活用することで、企業の競争力を高め、将来の価値を創造します。
そのような構想をしやすくするため、内閣府・知的財産戦略推進事務局が2018年にリリースしたもので、思考補助ツール「経営デザインシート」があります。
「経営デザインシート」とは“将来を構想するための思考補助・デザインツール”
「経営デザインシート」とは


「経営デザインシート」とは、将来を構想するための思考補助・デザインツール
(A)社会、市場へ伝えたい自社/事業の想い・イメージを明確化し、
(B)「これまで」の価値を生み出すしくみを把握し、
(C)「これから」の価値を生み出すしくみを構想し、
(D)今から何をすべきかを策定

(C)の「②これから価値を生み出す仕組み」について考える際は、逆の流れである「価値」を先に考えて、「ビジネスモデル」→「資源」という順番(バックキャスト)で考えることがポイントです。
要は、「これから」を考える時は、現実可能性を重視する(積み上げ式)よりも、”理想とする価値”、”何をしたいか”、という観点から”実現できるか”に落し込んだ方が望ましい結果が得られるということですね。
「経営デザインシート」の特徴
・内閣府HPから無料で資料が提供されている
・1枚で全体を俯瞰できる
・時間軸を意識できる・・・「これまで」と「これから」
・想いを記載できる・・・「自社の目的・特徴」、「事業概要」、「価値」等
・欄が限られているので、大切なことしか書けない・・・大切な部分の明確化
・「資源」と「ビジネスモデル」と「価値」の関係性を意識しやすい
「経営デザインシート」を活用することで、享受できるメリット
• 経営課題に気づき・整理し、将来の経営を考えるきっかけになる
• 各事業のビジネスモデルのデザイン・見直しが進む
• 新事業の構想ができ、新事業を立ち上げる上で必要な関係者と、ベクトル合わせができる
• 自社や事業の目指す方向性が視覚化され、ビジョン・コンセプトを関係者と共有できる
• 社内外との対話のきっかけになる(コミュニケーションツールとして活用できる)
• 事業継承に向けて「これまでの経営者」「これからの経営者」の対話のきっかけとなり想いが共有される
記載に迷ったとき
• 順番は問わず、どこから記載して頂いても構いません
• 欄を行ったり、来たりしながら、記載を進めるのが一般的です
• 埋めるより、考えることが重要ですので、時間を掛けましょう
• 記載欄はないが書いておきたいことがあれば、新たに欄を追加したり、所定の欄の記載を変えて頂いても構いません
新たな気づきを得たいとき
一度書いた後、一晩寝かせてみて、翌日もう一度考えてみる、第三者に相談してみるなど、客観視しながら作っていくことが大切です
経営デザインシート作成の4つの手順


①「社会、市場に伝えたい自社/事業の想い・イメージ」 の再確認(A)
自社らしさを振り返り、社会、市場へ伝えたいイメージを再考します。
同じ事業をしている他社とも異なる、自社ならではのこだわりや想いを意識して書くことが効果的です。
創業時、なぜ今の事業を始めようようと思いたったのか、過去を振り返る等、自社の経営方針を再確認します。
②自社の歩みを振り返り、「これまでの価値を生み出すしくみ」の認識(B)
どのような資源(ヒト、モノ、カネ、知的資産)を持っているか確認します。
その資源のうち、事業に必要不可欠なもの、他社との差別化になっているものを考えて、自社の強みを把握します。
自社の強みを活かし、どのようなネットワークを構築してきたかを振り返ることで、価値を生み出すしくみを認識します。
③将来を構想するステップとして 「これからの価値を生み出すしくみ」を描く(C)
5年後、10年後を想定して、自社のまわりで、どんな社会変化がありそうか、環境変化により顧客ニーズにどんな変化がありそうかを考えます。
「考えられる未来の社会・顧客の変化」に基づいて、将来の顧客・社会の「困りごと」「実現したいこと」、価値を明確化します。
顧客の変化に対して、自社は、誰に、何を(価値)どのように提案したいかを検討します。
④将来構想を実現するステップとして 「今から何をすべきか」を考える(D)
将来を見据えて、これからの外部環境の変化を考えた上で、どのような資源が必要か、どのような課題があるか認識します。
「これからの価値を生み出すしくみ」を実現しようとした際に、困難と思われるポイントは何か、その困難は何が原因か、その原因を解決するために、何をしなければならないか検討します。
何をどうしたら課題は解決するか、必要な資源は、どこ(社内外)から得られるか、資源を得るために何をする必要があるかという「今から何をすべきか」を考えることが重要です。
つまり、経営デザインシートでは、将来のあるべき姿を描いた上で、現在の姿と比べて、足りない資源を認識した上で戦略を立てていくという引き算の考え方です。
これは、現在の姿からの延長線ではなく、目標となる未来を定めた上で、そこを起点に現在を振り返り、今何をすべきか考える未来起点の発想法(バックキャスト)を取り入れているのが特徴です。

経営デザインシートを書くときに注意すべきなのは、埋めればいいという性質のものではないことです。
大切なのは「これから」を構想すること。
そのため、ただ現状を言語化するのではなく、実現したい「これから」を起点にバックキャスティング(目標とする未来像を描き、それを実現する道筋を未来から現在へとさかのぼる手法)の考え方で現状とつなぎ、戦略を練っていくことが重要です。

