【難易度】★★★☆☆
前回、自由な発想のできる会議の進め方、という内容で「ブレインストーミング」の記事を書きました。

ブレインストーミングは数多くあるアイデア発散技法の中でも最も有効な手段として、さまざまな場面で活用されています。
しかし、良いアイデアを生み出すためには、参加メンバーの多様性が重要なポイントなのですが、会社組織の中ではどうしても同じメンバーで行うことが多く、マンネリ化してしまうこともあります。
そんな時に有効なのが、今回のテーマである ”シックスハット法”(Six Thinking Hats)という発想法です。
シックスハット法とは
参加メンバーがステップごとに6種類の色の帽子 (シックス・ハット) をかぶって、ステップ (色) ごとに視点や思考を切替えて議論する発想法であり、水平思考=ラテラルシンキング(※)の提唱者としても知られる脳神経細胞学者エドワード・デ・ボノによって開発された思考法です。
※水平思考(=ラテラルシンキング)とは、問題解決のために既成の理論や概念にとらわれずアイデアを生み出す方法です。
従来の論理的思考や分析的思考を垂直思考(Vertical thinking)として、論理を深めるには有効である一方で、斬新な発想は生まれにくいとしている。
これに対して水平思考は多様な視点から物事を見ることで直感的な発想を生み出す方法である。
垂直思考を既に掘られている穴を奥へ掘り進めるのに例えるのなら、水平思考は新しく穴を掘り始めるのに相当する。

6つの色別の視点・発想の観点
この方法では、6つの視点を色に例えています。

[白] 客観的・中立的 white hat “Information”
具体的な数字などのデータやファクトに基づく偏りのない情報。
仮説や提案を含まない客観的な事実。
判断や意見はしない。
知りたい情報や足りていない情報について考えるのも可。
[赤] 直感的・主観的 red hat “Emotions”
直感でどのように感じるか、本能的な思考。
感覚的な好き嫌いでも可(正当化や説明は不要)。
[黒] 否定的・悲観的 black hat “Discernment”
論理的な矛盾、リスクや懸念点、失敗しそうな障壁・障害など否定的な観点で問題を洗い出す思考。
[黄] 肯定的・楽観的 yellow hat “Optimistic response”
プラス思考、良いところ (利益や価値)に目を向け、どう実現するかを肯定的な観点に洗い出す思考。
[緑] 創造的・革新的 green hat “Creativity”
考えのおもむくままに新しいアイデアや代替案を創造的に探求する思考。
ブラックハットを乗り越えるポイントなど、固定観念にとらわれずクリエイティブに考える。
[青] プロセス管理・俯瞰・統括 blue hat “Managing”
次に何をすべきか、アジェンダや思考プロセスの管理、アウトプットを見定めた上で俯瞰的に思考。
自分達のリーダーやプロセスの背後にいる人の視点から考えて結果をまとめ、主にファシリテーターが中心となって青を務める。
6色のアイテム
アイテムが無くても大丈夫
シックスハット法という名前どおり、本来は参加者がステップごとに同じ色の帽子(ハット)をかぶるのがもともとやり方ですが、カラーの帽子を人数分(6人とすると36個)準備するのは現実的でないかもしれませんね。
実際には帽子をかぶらずに 「かぶったつもりで・・・」 でも問題ありません。
本質は、意識して違う観点から意見を出し、議論するところにあります。
しかし、次の通り何かしら場の演出をしておくと、視覚的な効果も得られます。
6つの色で演出する効果
・目で色を見ることで「違う視点になる」ということを視覚に訴え、思考の切り替えがしやすくなる
・視覚的に 「色」 が目に飛び込んでくると、進行中のステップから逸れた発言を抑制しやすい
・同じ色の帽子をかぶることで、議論が進むにつれ、より一体感が醸成されやすい
・ゲーミフィケーション効果(※)によって、ブレストの場の盛り上がりにプラスの要素が働く
など
※ゲーミフィケーション効果とは
ゲームの要素をビジネスに応用することで、参加者が競争を通じて楽しみながら達成感をもって取り組むことでより良い効果を得られるいうもの。
イベントごとも兼ねた集合研修等では、実際に帽子を用意するのも盛り上がって面白そうですね。
シックスハット法の進め方
【事前準備】
・あらかじめ課題とテーマを設定しておく
・6色のアイテムを人数分用意する (帽子、バッチ、ネームカードなど)
・タイムキーパーや書記を参加者以外の人に依頼する場合は手配しておく
- 今回のテーマ、議論時の基本的な注意事項、色ごとの思考・視点について説明する
- 参加者に最初のパターンに該当する色を提示する(帽子やバッチを配布する)
- 課題の内容について、最初のパターンから全員で議論を行う (ファシリテーターを除く)
- 以降、順番に色を変えて議論しながら、意見をブラッシュアップしていく
- 各回の時間を短めに制約して時間を管理する (各色3分程度の区切られた時間制約の中で進める)
シックスハット法における6つのステップの順番は[白→赤→黄→黒→緑→青]の順で行うのが基本となっていますが、必ずしもこの順番で行わなくても構いません。
ファシリテーターが全体の進行を確認し、順番を入れ替えてみたり、同じステップを繰り返してみたりすることも可能です。
メンバーが課題に対して十分にポジティブな場合は黄のステップは不要ですし、ネガティブな場合は黒のステップは不要です。
順調に進んでいるようであれば、青のステップも必要ありません。
時間の管理も非常に重要です。
ステップごとに制限時間を設定しつつ、テンポよく進行するような心がけが重要です。

シックスハット法の注意点・ルール
現在の色以外の意見は言わない
各色のテーマを検討している際は、その色以外の意見を言わないようにします。
例えば、黄色の時(肯定的・楽観的視点)は、積極的な意見がなかったとしても、強引に積極的な部分を見つけるようにします。
以下はブレインストーミングと同様のルールです。
出てきたアイデアを批判しない
周囲の人は批判や評価をせず、発言しやすい雰囲気をつくることが重要です。
自由に発言する
立場に関係なく遠慮なく意見を出すことを、ルールとして事前に周知しておくことも大切です。
質よりも量を重視
考え込むよりも、短時間でどんどん意見を出すことが重要です。
質よりも量を出すことが大切である旨を事前に周知しておきます。
アイデア同士を結合する
他の参加者の付箋に書かれたアイデアをもとに自分のアイデアを加えて、発想を広げていくこと参加者全員に促します。
アイデアを組み合わせたり、アイデアの一部を違うものに置き換えたりすることによって、オリジナルなアイデアを生み出すことができます。
一人でも活用できる思考法
6色ごとの視点を意識することで、自分の中で偏りがちな視点を解放させる効果もあります。
普段は消極的な視点を持ってしまいがちな方は、黄色の視点から、強引にでも積極的な視点でテーマを見てください。
セルフディベートでも、6つの観点を持つことで、他人と議論する時のように新しい発見に繋がります。

